荒代全層作溝散播による湛水直播の出芽苗立ち安定化技術


[要約]
散播方式の湛水直播の整地法は、荒代時に全層施肥し、代かき時の田面水の面積は30~40%程度とし、これに間隔10cm、深さ4cm程度の作溝を行うことで出芽苗が集条化し、浮苗軽減に有効である。
滋賀県農業試験場湖北分場
[連絡先]   0749-82-2079
[部会名]  総合研究
[専 門]   栽培
[対 象]   稲類
[分 類]   普及

[背景・ねらい]
 散播方式の湛水直播では出芽苗立ちの安定化、特に浮苗の発生が問題であり、自然覆土が期待できる播種溝の形成が望ましい。
 そこで、作溝によって浮苗軽減を図るための作溝板を試作し、代かき濁水の排水路への逸流が軽減できるような節水管理を前提として、安定した播種溝を形成するために必要な代かき用水量等の条件を明らかにする。また、作溝が直播水稲の苗立ち、生育等に及ぼす効果を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 節水管理に適する代かき用水量は、地下水位を異にする3筆の圃場で水面被度との関連性から予備的に検討したところ、水面被度40~50%の範囲での目測には誤差を生じやすかったため、水面被度を30~40%に下げることが望ましかった。
  2. 試作作溝板(溝間隔10cm)によって、浅水代かき2日後に深さを2~4cmに変えて作溝したところ、4cm深で十分な苗立ち数が得られ、出芽苗は溝内に集条化し、浮苗軽減にも有効であった(表1)。
  3. 出芽苗立ちは極浅水代かき同時作溝では劣り、標準代かき2日後作溝では標準代かき無作溝(対照)なみであり、標準代かき同時作溝が最も優れた。また、無作溝での浮苗が最も多く、作溝を行った場合、その方法による差は少なかった。ただし、収量では2日後作溝が最も多収となった(表2)。
  4. 以上により、標準代かきとし、深さ4cmの作溝を行うことで出芽苗の集条化によって浮苗の軽減が期待できる。

[成果の活用面・留意点]

     本技術は緩効性肥料を基肥に施用する荒代全層施肥法であること、細粒質土壌条件下で行った点に留意する。
     また、浅水代かきを前提とし、水面被度の目安を30~40%(代かき後の水深(1~2cm)とする。

[その他]
研究課題名 : 大区画圃場における湛水直播安定栽培技術の開発
        節水管理等による苗立安定化
予算区分  : 地域基幹農業技術体系化促進研究(国補)
研究期間  : 平成9年度(平成6~9年度)
研究担当者 : 辻 藤吾、鳥塚 智、吉澤 清
発表論文等 : なし
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