側壁散水によるハウス融雪法の温暖地中山間地への適用


[要約]
温暖地中山間積雪地帯におけるパイプハウスの融雪は、厳寒時でもハウスサイドへの地下水の散水が有効である。また、農業用水も気温の高い、少積雪時には利用できる。この融雪法はパイプハウスの積雪による倒壊を的確、かつ省力的に防止できる。
島根県農業試験場・赤名分場
[連絡先]   0854-76-2025
[部会名]   野菜・花き(野菜)、総合研究
[専 門]    農業施設
[対 象]    施設維持管理
[分 類]    普及

[背景・ねらい]
 中山間積雪地帯において農業所得の向上をはかるためには、施設の周年利用による農作物の生産は極めて有効な手段であるが、この場合、雪害対策が重要な問題となる。パイプハウスの融雪には側面の積雪を除去し、屋根部の雪を滑落させる必要がある。そこで、「側壁散水による融雪方法」の温暖地中山間への適用性について検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. ハウス側面のビニルフィルム面から0.75m離し、高さ1mの位置に、内径25mmの塩化ビニル管を設置する。その上部に1m間隔で散水方向がハウスサイドのビニルフィルム面と直角となるように片側散水ノズルを取り付け、降雪始めから地下水(平均散水量:350~500ml/min/ノズル)、または用水(平均散水量:600~800ml/min/ノズル)を散水する。
  2. パイプハウスの融雪に対する地下水(水温:10~14℃)の側壁散水の効果は高く、平均気温が-2~-3℃の厳寒時の80㎝程度の積雪に対しては散水5日後(図1)、-0.5~-2.5℃の40cm程度の積雪には散水2日後(図2)、0.5~-2.5℃で70㎝程度の積雪がある場合でも散水3日後に(図3)、パイプハウス側面の雪はすべて消失する。
  3. このように地下水の側壁散水はいずれの気温、積雪条件下でも、ハウス側面の積雪を融雪することができる。側面の融雪とハウス内の保温によって、屋根部の積雪を容易に滑落させて、パイプハウスの雪害を防止できる。
  4. 用水(水温:2~4℃)の散水は気温の比較的高い時期や少雪時には有効である。しかし、融雪効果は地下水に比べて劣り、厳寒時には配水管から滴下した水によって直下に氷壁が形成され、融雪効果は認められない(図1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. ハウス雪害対策のためには側壁散水による融雪対策のほか、ハウスを支柱等で補強する。
  2. ハウス内への散水の流入を防ぐために側面にビニルフィルムを設置するとともに、ハウスサイドに排水溝を整備する。
  3. ノズル及び吸水口が詰まる場合があるので、定期的に点検する。

[その他]
研究課題名 : ハウスの雪害対策
予算区分   : 地域基幹
研究期間   : 平成9年度(平成6~10年)
研究担当者 : 北川 優、蒲生勝美
発表論文等 : なし
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