山野植物トウテイランの苗物としての栽培法


[要約]
島根県に自生するトウテイランの発芽適温は10~15℃で、発芽には光が必要である。育苗用土はマサ土、ピートモス、パーライトの等量配合で生育が優れ、鉢上げ後は無加温で栽培すると、苗物としての園芸化が可能である。
島根農業試験場・園芸部・野菜花き科
[連絡先]   0853-22-6650
[部会名]   野菜・花き(花き)
[専 門]    栽培
[対 象]    花き類
[分 類]    普及

[背景・ねらい]
 本県には多くの山野植物が自生しており、そのうち数種については園芸化が可能と考えられるが、ほとんどが未活用のまま放置されているのが現状である。そこで、これら山野植物の活用方法及び栽培方法について検討し、地域特産物としての振興を図る。

[成果の内容・特徴]

  1. トウテイラン(ゴマノハグサ科の宿根草)の自生地は、岩肌に崩積土が堆積した日照条件が良好な場所である。自生地の土壌は、pHは5.5前後、腐植含量は9%、ECは0.1ms/cm前後である。
  2. ハウス栽培では7月下旬から開花し、10月上旬~12月中旬に採種可能となる。採種後の種子は、4℃あるいは室温で乾燥貯蔵すると、1年間は発芽率が低下しない。
  3. 発芽適温は10~15℃で、発芽には光が必要である(表1)。
  4. 12~5月に播種する。用土はメトロミックス単用とし、288穴のセルトレイを用いる。子葉展葉後は窒素濃度300~500ppmの液肥を週1回施用する(表2)。播種後は最低気温が10℃以下にならないように管理する。
  5. 播種2か月後(本葉4枚程度)に9cmポットに鉢上げする。用土はマサ土、ピートモス、パーライトの等量配合とする(表3)。基肥には被覆複合肥料を用い、窒素として用土1リットル当たり0.5gを施用する(表4)。鉢上げ後は無加温で栽培する。

[成果の活用面・留意点]

  1. 花付きの苗物は有利販売が期待できる。3月に播種すると9~10月に花付き苗(9cmポット)の出荷が可能となる。
  2. 鉢上げ後は無加温で管理すると開花率が高まる。
  3. 鉢上げ後のかん水は、マットによる底面給水法が省力的である。

[その他]
研究課題名 : 中山間地域活性化のための山野植物資源の園芸化および利用技術の確立
予算区分   : 地域重要新技術
研究期間   : 平成9年度(平成7~10年)
研究担当者 : 稲村博子
発表論文等 : 数種の山野草の発芽における温度と光の影響、園芸学会中四国支部要旨、36号、48、1997.
目次へ戻る