- [要約]
- 出荷前施肥の濃度を施肥の前歴に応じて変えることが、シクラメンの観賞時の日持ち性向上にとって有効である。低濃度管理の場合は出荷前施肥濃度を150ppm程度に高め、高濃度管理の場合は75ppm以下に下げると品質保持効果がみられる。
奈良県農業試験場・栽培技術担当・花き栽培チーム
[連絡先] 0744-22-6201
[部会名] 野菜・花き(花き)
[専 門] 栽培
[対 象] 花き類
[分 類] 指導
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[背景・ねらい]
- 鉢花の観賞条件下における品質変化の程度は、出荷以前の栽培管理の方法により大きく異なり、なかでもシクラメンに代表される「花もの」では、出荷前の施肥管理が出荷後の花もちを含む日持ち性に大きな影響を及ぼす。そこで鉢花の品質保持に効果的な施肥管理方法を確立するため、出荷前の1ヶ月間に与える施肥が、観賞時の日持ち性に与える影響を検討する。
[成果の内容・特徴]
- 全般を通じ、施肥濃度が高いほど葉数や花数が多く、健全葉の葉色も濃くなるが、開花期間が短く黄化褐変葉の発生数も多くなるなど日持ち性は悪くなる(表1、図1)。
- 夏から秋口(8/16~10/15)の液肥を窒素、リン酸、カリとも75ppmの濃度で施用した場合、出荷前の1ケ月間(10/16~11/15)に施用する液肥の濃度を150ppmに上げることにより、一花当たりの開花期間の延長と黄化・褐変葉の発生の低減が見られ、日持ち性は良くなる(図1)。
- 夏から秋口の液肥を窒素、リン酸、カリとも150ppmの濃度で施用した場合、出荷前の1ケ月間に施用する液肥の濃度を75ppmに下げることで、黄化・褐変葉の発生が低減する(図1)。
- 夏から秋口の液肥を窒素、リン酸、カリとも300ppmの濃度で施用した場合、出荷前の1ケ月間に施用する液肥の濃度を75ppm以下に下げることにより、一花当たりの開花期間の延長と黄化・褐変葉の発生が低減し日持ち性は良くなる(図1)。
[成果の活用面・留意点]
- 本試験の成果は鉢花シクラメンの日持ち性向上を図るうえで重要な資料となり、当面、講習会等での活用を図る。今後、植物体及び培地の成分分析にもとづく出荷前施肥法のマニュアル化により技術の確立を図る。
- 本試験での施肥は用土1リットルあたりに液肥 100 ml を7日ごとに上部より灌注した。樋給水やエブアンドフローなどの底面施用を行う場合は、植物の反応が異なってくる可能性がある。
[その他]
研究課題名 : 鉢物品質維持
予算区分 : 県単
研究期間 : 平成9年度(平成7~9年度)
研究担当者 : 前田茂一、長村智司
発表論文等 : 鉢花の品質維持に及ぼす栽培管理方法の影響 (第1報)シクラメンの品質維持に及ぼす施肥の影響、園芸学会雑誌、66巻別2、1997.
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