- [要約]
- 日本に自生する匍匐性タイム、イブキジャコウソウは、挿し芽後約1ヶ月で95%以上が発根し、鉢上げ可能となる(最低夜温4℃以上)。鉢上げ時に用土1リットルあたり緩効性肥料を2~4g混合し、腰水潅水方式で栽培すると生育が良い。
奈良県農業試験場高原分場・地域特産開発チーム
[連絡先] 0745-82-2340
[部会名] 野菜・花き(花き)
[専 門] 栽培
[対 象] 花き類
[分 類] 指導
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[背景・ねらい]
- イブキジャコウソウは、匍匐性タイムの1種で日本に自生する山野植物である。香りが良く、春は株が桃色の花に覆われて美しいため、ハーブやグランドカバー植物として中山間地域における産品化が期待できる。 そこで同じ匍匐性タイムで生育旺盛とされるロンギコウリス(Thymus longicaulis )との生育比較を行うとともに、効率的栽培法を検討する。
[成果の内容・特徴]
- 繁殖:種子は微細で取り扱いにくい。挿し芽による増殖では、パーライトとピートモスの等量混合用土を用いた場合、イブキジャコウソウ、ロンギコウリスともに、最低夜温4度前後の保温を行うことにより約1ヶ月で鉢上げ可能な苗が95%以上得られる(表1)。
- 施肥量:鉢上げ時には、100日タイプの緩効性肥料(14-12-14)を用いた場合、用土1リットルに対し、イブキジャコウソウで2~4g、ロンギコウリスでは4gを混合すると生育が良い(表2)。
- 潅水方法:ベンチにポリマルチを敷き、その上に不織布を敷いて潅水チューブを通した腰水潅水方式(非循環型)では、ミスト潅水の場合に比べて鉢上げ後の生育が優れ、2ヶ月間の生育量は両種ともにミスト潅水の約2倍となる(表3)。
- 増殖効率:茎葉1gあたり約10本の挿し穂が得られるので、6月に挿し芽を開始した場合、腰水潅水で栽培することにより、ひとつの挿し芽から9月にはイブキジャコウソウで110本、ロンギコウリスで200本の挿し穂を得ることができる(表2、3)。
[成果の活用面・留意点]
- 挿し芽用土のPHが低いと発根率が低下する。
- 1株(株張り約20cm)から20本の挿し穂を採取して6月に挿し芽を開始した場合、鉢上げ時に緩効性肥料を用土1リットルあたり4g混合し、その後腰水灌水で栽培することで、半年後にはイブキジャコウソウで2000鉢、ロンギコウリスで4000鉢のポット苗を得ることが可能である。
- 施肥方法、施肥量については、液肥などの利用も含め、さらに検討が必要である。
[その他]
研究課題名 : 中山間地域活性化のための山野植物資源の園芸化及び利用技術の確立
予算区分 : 地域重要新技術
研究期間 : 平成9年度(平成7~10年)
研究担当者 : 今村有里、松倉一弘
発表論文等 : なし
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