- [要約]
- 牛糞堆肥を1t/10a施用し被覆尿素70日タイプを秋肥に用いて年間窒素施用量を40kg/10aとすることで、慣行施肥量100kg/10aに比べ環境負荷量を軽減できるだけでなく、それと同等の収量、販売単価を得ることができ、経営的にも有利である。
滋賀県茶業指導所
[連絡先] 0748-62-0276
[部会名] 茶業
[専門] 肥料
[対象] 工芸作物類
[分類] 普及
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[背景・ねらい]
- 茶園においては一定収量の確保と品質の向上を目的として、有機質肥料を含めて多量の窒素肥料が慣行的に施肥量されてきた。しかしながら、この方法は肥料費のコスト高を招き、施肥回数が多くなるばかりでなく、茶栽培における環境負荷量増大の主要因となっている。このような茶栽培にとってのマイナス面を改善するため、被覆尿素肥料を用いて農家に受け入れられ易い省力、低コスト型で、かつ環境にやさしい施肥体系を確立する。
[成果の内容・特徴]
- 被覆尿素70日タイプを秋肥として用い、2、3、4月に有機配合、6月に硫安を施用して年間窒素施用量を40kg/10aとした。また、秋肥の被覆尿素と同時に牛糞堆肥(N:1%)を1t/10a連年施用した(以後、被覆尿素区)。この施肥体系と農家の一般的施肥(以後、慣行施肥区)とを環境負荷量、生育収量、経営面から比較評価した。
- 茶園の雨落ち部地下70cmの土壌溶液の硝酸態窒素濃度は、被覆尿素区が低く推移し20ppmを越えることはほとんどないが、慣行施肥区は40ppmを越えることが多い(図1)。
- 暗渠からの硝酸態窒素排出量は降水量の多い年には多くなるが、被覆尿素区が慣行施肥区の40%程度少なくなる(図2)。
- 土壌中の無機態窒素量は、5月の一番茶摘採期頃に慣行施肥区が多くなるが、その他の時期ではほとんどかわらず、被覆尿素区でも十分な窒素量を確保できる(図3)。
- 一番茶、二番茶とも収量に有意な差はない。官能審査では被覆尿素区の香気が優れ、販売単価はほぼ同じになる。また、両施肥区の肥料および牛糞堆肥以外の変動費等諸経費が同じであるため、被覆尿素区の所得が若干高くなる(表1)。
- 被覆尿素区は年間の施肥回数が5回で済むため堆肥の施用時間を加えても、年間8回の施肥を行う慣行施肥区よりも労働時間が10a当り1時間削減される(デ-タ略)。
[成果の活用面・留意点]
- 本施肥体系は牛糞堆肥であれば1t/10aを連年施用する等、堆肥の施用が必要である。また、本成果は赤黄色土における3年間のデ-タであり、堆肥の連用により土壌中窒素の蓄積が進んだ場合は、さらに肥料節減の可能性がある。本成果は普及センタ-を通して、生産者団体のメンバ-が各戸の施肥体系に合わせて10a~1haの規模で展示実証圃を設けた。
[その他]
研究課題名 : 琵琶湖集水域の田畑輪換水田および茶園における省肥料環境保全技術の確立
予算区分 : 地域基幹
研究期間 : 平成10年度(平成6~10年)
研究担当者 : 志和将一
発表論文等 : なし
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