- [要約]
- 玉露、てん茶ともに、hexanal,(E)-2-hexenal,cis-3-hexen-1-ol,furfural, linalool,geraniolは蒸し工程で大きく減少する。覆い香の主体であるDimetyl Sulfide
は、玉露では大きな変化はないが、てん茶では工程の進行に伴って増加する。
京都府立茶業研究所・化学担当
[連絡先] 0774-22-5577
[部会名] 茶業
[専門] 加工利用
[対象] 工芸作物類
[分類] 研究
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[背景・ねらい]
- 緑茶の製造工程における香気成分の変化については、これまで煎茶を中心とした研究が報告されているが、玉露・てん茶といった被覆茶についての研究報告が少ない。そこで、良質被覆茶製造のための基礎資料を得ることを目的として、被覆茶製造工程別に香気成分の含量変化を調査した。
[成果の内容・特徴]
- 玉露、てん茶ともに各製造工程別に試料を採取し、凍結乾燥したものを香気分析に用いる。試料茶を、メタノール溶液で抽出し、Porapack Qカラムを用いたカラム濃縮法によって、香気成分を濃縮し、ガスクロマトグラフ分析を行う。
- 玉露製造工程では、hexanal,(E)-2-hexenal,cis-3-hexen-1-ol,furfural,linalool,geraniolなどの香気成分が、蒸し工程で大きく減少するが、その後は大きな変化がない。heptanal,n-pentanol,linalool oxide (Ⅰ),linalool oxide (Ⅱ),benzyl alcoholは工程の進行に伴って増加する傾向にある。被覆茶特有の、覆い香の主体であるDimethyl sulfideは、粗揉工程でやや減少するが、その後は、あまり大きな変化がみられない(表1)。
- てん茶製造の場合でも、玉露と同様に、hexanal,(E)-2-hexenal,cis-3-hexen-1-ol,furfural,linalool, geraniolは蒸し工程で大きく減少し、その後は大きな変化がないが、Dimethyl sulfideは、工程の進行に伴って増加し、特に中段、乾燥工程で急増する。その他の成分は、玉露製造の場合と異なり、大きな変化はみられない(表2)。
[成果の活用面・留意点]
- 玉露とてん茶とでは、サンプリング部位も異なる(玉露は葉と茎部混在、てん茶は葉部のみ)ため、単純に比較はできないが、製法によって工程中の香気成分含量の変化も異なるように思われる。てん茶製造で、工程の進行に伴って急増するDimethyl sulfideは、メチルメチオニンスルホニウム塩の熱分解により生成する香気成分であることから、てん茶製造では、主に加熱による香気生成反応が製造中に生じていることが推測される。
[その他]
研究課題名 : 被覆茶の製茶工程に伴う香気成分の変化
予算区分 : 府単
研究期間 : 平成10年度(平成7~10年)
研究担当者 : 原口健司、木村泰子
発表論文等 : なし
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