吸引・灌流装置を用いたウシ卵胞卵子の超音波誘導経膣採卵における吸引条件


[要約]
超音波誘導経膣採卵において、作業性の良い180cmの連結チューブを用いる場合、吸引圧100mmHg、フラッシング量0.3ml/2secの条件が最適である。この条件で黒毛和種雌牛18頭から採卵したところ平均4.9個の正常卵子が回収できた。
兵庫県立北部農業技術センター・ 畜産部
[連絡先] 0796-74-1230
[部会名] 畜産  
[専門]    繁殖
[対象]    肉用牛
[分類]    指導

[背景・ねらい]
 ウシの超音波誘導経膣採卵法は産肉能力や種牛能力の優れた個体から確実に胚を生産できるとともに、性周期に関係なく定期的に採卵できることから、過剰排卵処理による採卵方法と並んで活用できる技術として期待されている。採卵方法については吸引と灌流(フラッシング)が同時にできる吸引針であるダブルルーメンニードルにより卵子回収率が向上したが、吸引圧、フラッシング量等の設定条件が回収率に大きな影響を与える。また、吸引針と吸引装置を結ぶ連結チューブは一般的な90cmの長さでは短いため作業性が悪く、180cmのチューブが試作された。そこで、と体由来の卵巣を用いて吸引圧及びフラッシング量の基礎的な条件設定を行い、生体からの経膣採卵を実施して、条件の適否を検討した。

[成果の内容・特徴]

  1. と体由来の卵巣を用いて吸引圧を75、100、125、150及び175mmHgの5区で比較したところ、連結チューブ90cmでは、吸引圧150mmHg区が卵子回収率91.5%と有意に高く、正常卵丘卵母細胞複合体(以下COC)回収率は58.8%と高い成績であった(表1)。連結チューブ180cmでは100mmHg区が卵子回収率70.4%で、正常COC回収率51.6%と高い成績であった(表2)。
  2. 連結チューブ180cmで最も成績が良好であった吸引圧100mmHgにおいてフラッシング量を0.1、0.2、0.3及び0.4ml/2secの4区で比較したところ0.3ml区が卵子回収率78.7%、正常COC回収率54.3%で高い成績であった(表3)。
  3. 連結チューブ180cmで最適条件であった吸引圧100mmHg、フラッシング量0.3ml/2secで黒毛和種雌牛から採卵したところ、卵子回収率40.0%、正常COC率95.7%、正常COC回収率38.3%であった表4)。
  4. それぞれの連結チューブを比較すると、最適条件下では90cmの回収率が高いが、採卵時にチューブが短いために牛の動きで針が折れる等の問題があり、総合的に180cmの方が有効である。

[成果の活用面・留意点]

吸引・灌流装置等のシステムに変更がある場合は必ず基礎条件の設定が必要である。

[その他]
研究課題名 : 成牛卵巣内未発育卵子利用による胚の大量生産技術の開発
予算区分    : 県単
研究期間    : 平成10年度(平成9~11年)
研究担当者 : 木伏雅彦、福島護之、野田昌伸
発表論文等 : 吸引・灌流装置を用いたウシ卵胞卵子の採取における連結チューブの長さ、吸引圧及びフラッシング量の検討、第5回日本胚移植研究会(1998)口頭発表
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