- [要約]
- 放牧地に親子分離ゲートを設置して朝夕2回の制限哺乳を行うと、母牛の発情回帰が早まり1年1産が可能となる。また、子牛の発育は全国和牛登録協会の示す標準発育の平均値以上が得られる。
岡山県総合畜産センター・和牛改良部・和牛飼養科
[連絡先] 0867-27-3321
[部会名] 畜産
[専門] 飼育管理
[対象] 肉用牛
[分類] 指導
-
[背景・ねらい]
- 肉用牛経営の一層の低コスト化を図るために、中山間地を利用した放牧飼養がみなおされている。しかし、放牧飼養では、母牛の低生産性や子牛の発育遅延などの問題がある。
- そこで、放牧を主体とした和牛繁殖経営における子牛の発育と母牛の繁殖性の向上を図るため、放牧地での制限哺乳技術について検討した。
[成果の内容・特徴]
- 分娩後1カ月から母牛は放牧飼養し、子牛は放牧場内の別飼施設(図1)に収容して、別飼飼料(~3カ月:TDN75%.DCP15%、4カ月~:TDN68%.DCP14%)を体重比1.5%給与するとともに、分離ゲート(薩摩ゲート)を用いて朝夕2回の制限哺乳を行なった。また、哺乳子牛の発育遅延に対処するため、離乳(4カ月齢)までバイパス油脂(脂肪酸カルシウム:以下FCA、TDN118%.CP22%)を給与飼料に重量比5%量を添加し、栄養補完効果を期待した。
- 母牛は放牧と制限哺乳を組み合わせた結果、発情回帰日数37.9日、受胎日数79.2日、授精回数1.7回であり、1年1産が可能となった(表1)。
- 8カ月齢子牛の発育は、FCA添加区、無添加区とも発育標準値(全国和牛登録協会)を上回った。また、4カ月齢までの発育では、FCA添加区のDGは0.83kg、無添加区0.76kgであり、添加区でやや優る傾向がみられた(表2)
- 血液生化学的検査成績は、FCA添加区で総コレステロール、グルコースの値が上昇する傾向がみられた。(表3)。
- 以上の結果、薩摩ゲートを応用することにより放牧場において容易に親子分離、制限哺乳ができ、母牛の繁殖性、子牛の発育性に対しても問題は見られない。
[成果の活用面・留意点]
- 哺乳期間中のFCA添加効果については4カ月齢までの発育ではやや優る傾向がみられたが、その後の発育との関係については試験を現在実施中である。
- 親子分離、制限哺乳に薩摩ゲートは有効であり、ゲートの高さは高低差80cmが適当と考えられる。
- 写真 [具体的データ]
[その他]
研究課題名 : 傾斜地におけるシバ草地を組合わせた肉用牛の高能率・省力管理技術並びに一貫生産技術
予算区分 : 地域基幹
研究期間 : 平成10年度(平成6~10年)
研究担当者 : 野口竜三、木曽田 繁、山本 洋、溝口 豊
発表論文等 : 傾斜地におけるシバ草地を組合わせた肉用牛の高能率・省力管理技術並びに一貫生産技術 ー放牧地における制限哺乳技術ー、岡山県総合畜産センター研究報告第9号、45-48、1998.
目次へ戻る