第一胃内CP分解度のコントロールによる泌乳前期の乳蛋白質率向上


[要約]
泌乳前期の乳牛に対し、飼料中のCP含量を17%とし、第一胃内CP有効分解度を69%に調整した飼料の給与は、血液尿素窒素(BUN)量が低く推移し、分娩後21~42日間の乳蛋白質率が0.4%程度向上できる。
広島県立畜産技術センター・飼養技術部
[連絡先] 08247-4-0331
[部会名] 畜産
[専門]    動物栄養
[対象]    乳用牛
[分類]    指導

[背景・ねらい]
 泌乳前期の乳蛋白質率を向上させるためには、第一胃内でのエネルギーと飼料蛋白質(CP)の利用率を向上させる必要がある。飼料CPの利用は、飼料の第一胃内分解速度と第一胃内通過速度による2つの相対的速度により決定される。
 そこで、ナイロンバック法による分解パラメータ値とマーカー法による第一胃内通過速度から算出した第一胃内CP有効分解度を異にした飼料給与が、泌乳前期の乳蛋白質率に及ぼす影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. 乳用牛9頭を用い、CP含量17%、TDN含量78%、EE含量 5%、NDF含量35%および粗飼料乾物摂取割合を35%と同一にし、乾熱大豆とコーングルテンミールの混合割合を変えて、第一胃内CP有効分解度を85%、77%、69%と異にした飼料を分娩後120日間給与した。
  2. 給与した飼料の第一胃内通過速度は2.72%/hrであった。
  3. 乾物摂取量、粗飼料乾物摂取量は、CP有効分解度の違いに影響されない(図1)。
  4. 乳量は、区間に有意な差は認められないものの、分解度69%区の泌乳ピークが早まる傾向にある(図2)。
  5. 乳蛋白質率は、分解度69%区が分解度85%区に比較し、分娩後21~42日間に 0.4%程度有意に高く推移する(P<0.05)(図3)。無脂乳固形分率も乳蛋白質率と同様の傾向で推移する。
  6. 第一胃内のCP分解の指標となる血液尿素窒素(BUN)量は、第一胃内CP有効分解度の程度に伴い推移し、分解度69%区は低く推移する(P<0.05ないしP<0.01)(図4)。

[成果の活用面・留意点]

 第一胃内のCP有効分解度は一定値ではなく、粗飼料の種類や粗濃比の水準ごとに異なる第一胃内通過速度に影響を受ける。そのため、様々な飼料構成下における飼料の通過速度の情報を集積する必要がある。

[その他]
研究課題名 : 高泌乳牛における乳蛋白質向上のためのルーメンコントロール技術
予算区分    : 県単
研究期間    : 平成10年度(平成7~9年)
研究担当者 : 新出昭吾
発表論文等 : 高泌乳牛における乳蛋白質向上のための飼料給与に関する研究、第48回日本畜産学会関西支部大会講演、1998.
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