寒地型草種の導入によるシバ草地の冬期牧養力の向上


[要約]
ノシバ単独草地での放牧可能期間は4月~10月であり、この期間外を補完する寒地型草種の導入により冬期牧養力の向上が図られ、放牧期間の延長が可能となる。
山口県畜産試験場・大家畜部・草地飼料科
[連絡先] 0837-52-0258
[部会名] 畜産、総合研究
[専門]    動物栄養
[対象]    野草類・牧草類
[分類]    指導

[背景・ねらい]
 ノシバ単独草地での放牧可能期間は4月~10月であり、放牧期間延長のためには、この期間外を補完する他草種の導入と、翌春のノシバの速やかな回復が必要である。そこで寒地型牧草の追播による年間放牧利用期間の延長効果、また翌春のノシバ生産量への影響について検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. ノシバ草地に10月20日にイタリアンライグラス(品種名:シワスアオバ)を2.5kg/10a追播し、冬季の牧養力の向上を図った。追播の手法は、ソッドシーダ・マクロシードペレット・ディスキング後に播種鎮圧を行う3手法によった。なお試験期間中の気象は図1のとおりであった。
  2. 調査方法は、1997年11月から1998年5月まで毎月1回、黒毛和種成雌牛2頭による放牧管理を行い、入退牧時の現存量を測定し、牧区当たりの生産量を算出した。
  3. 寒地型牧草の乾物生産量は、ソッドシーダ処理・ディスク処理では11月以降2月までほぼ横這いに推移し3月以降増加したが、最も生産量が高かったのは全処理とも5月であった(図2)。特にマクロシードペレット処理では1月以降、他の処理に比べ生産量が多かった。マクロシードペレット処理では11月から徐々に増加し、3月には生産量のピークとなりその後安定した。
  4. 牧養力はマクロシードペレット処理で最も高く、11月から5月までの10a当たりCDはソッドシーダ処理、ディスク処理のそれぞれ、274%、183%となった(図3)。
  5. ノシバの再生は5月にマクロシードペレット処理区で抑制される傾向を認めたが、6月以降回復した(図4)。
  6. いずれの処理によっても、冬期牧養力の向上が期待されるが、機械装備を必要としない点から、マクロシードペレットによる方法が有望であると思量する。

[成果の活用面・留意点]

 イタリアンライグラス品種の早晩性を組み合わせることにより、冬期の生産量をより増加させる手法を検討する必要がある。

[その他]
研究課題名 : シバ草地を基盤とした肉用牛の繁殖・肥育一貫生産技術の体系化
予算区分    : 地域基幹
試験期間    : 平成10年度(平成6~10年)
研究担当者 : 斉東寛、太田壮洋
発表論文等 :
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