- [要約]
- ルーメン液アンモニア態窒素を水蒸気蒸留法と血液自動分析装置で測定したところ、測定値に高い相関が認められた。ルーメン液アンモニア態窒素は血中尿素態窒素よりも鋭敏にルーメン内における蛋白質の分解・利用状況を反映している。
兵庫県立淡路農業技術センター・畜産部
[連絡先] 0799-42-4883
[部会名] 畜産
[専門] 動物栄養
[対象] 乳用牛
[分類] 研究
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[背景・ねらい]
- ルーメン液アンモニア態窒素(R-NH3N)は飼料中粗蛋白質の分解によって生じ、これを基質として炭水化物の発酵エネルギーを利用して微生物態蛋白質が再合成される。したがって、R-NH3Nは給与飼料の利用性をみる重要な指標の一つである。しかし、その測定は蒸留や滴定等の煩雑な手法を要するため、乳用牛群の飼養改善指導には、もっぱら血中尿素態窒素(BUN)等の間接的な指標が用いられている。そこで、血中アンモニア測定用の小型血液自動分析装置(富士ドライケム)によるR-NH3Nの迅速測定法(迅速法)を検討した。
[成果の内容・特徴]
- 乳用牛のルーメン液59検体のR-NH3Nを水蒸気蒸留法(従来法)と迅速法で測定した。従来法は自動蒸留装置を使用した。迅速法はルーメン液1mlを100mlのメスフラスコにを入れ、蒸留水で100倍希釈し、血中アンモニア用スライド (NH3-WⅡ)で測定した。
- 従来法と迅速法の測定値間には、相関係数0.976の有意な正の相関が認められ、その回帰式はy=1.098x+1.686であった(図1)。
- 迅速法を用い、同一ルーメン液から作成した10本の希釈検体を測定する場合(希釈変動)と、同一希釈検体を10回連続測定する場合(点着変動)で再現性を検証した。その結果、変動係数は、点着変動と希釈変動を混みにしても2.86%で、再現性は良好であった (表1)。
- 飼料摂取に伴うR-NH3NとBUNの変動パターンを完全混合給餌(TMR)と分離給与で比較した。R-NH3NとBUNは給餌後最初の採取時点で最高値に達した。その後、低下の変動率はR-NH3Nの方が大きかった。分離給与に比べ完全混合給餌(TMR)での変動率は小さかった(図2)。
[成果の活用面・留意点]
- 迅速法による100倍希釈液の測定濃度は(μg/dl)単位であり、原液中の(mg/dl)単位に変換するには測定値に0.1を乗じる。
- R-NH3NはBUNよりもルーメン内における蛋白質の分解・利用状況を鋭敏に反映しており、今後、飼料構成や給与順序と濃度変動の関係を検討することにより、詳細な栄養診断指標として活用できると考えられる。
[その他]
研究課題名 : スーパーカウの泌乳初期生理に対応する分娩前後の飼養管理技術
予算区分 : 県単
研究期間 : 平成10年度
研究担当者 : 生田健太郎、福尾憲久
発表論文等 : 血液自動分析装置によるルーメン液アンモニア態窒素の迅速測定法、平成10年度日本産業動物獣医学会年次大会講演要旨、117、1999.
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