- [要約]
- 施設ナス害虫を対象とする天敵利用防除体系は減農薬、作業の快適性、安全性において、生産現場でも高く評価される。この防除体系に要する費用は597.2千円/10a(慣行4.5千円/10a)、作業時間は34.3時間(慣行8.7時間)と試算される。
兵庫県立中央農業技術センター・経営実験室、農業試験場環境部
[連絡先] 0790-47-1117
[部会名] 営農、生産環境(病害虫)
[専門] 経営、作物虫害
[対象] 昆虫類、果菜類
[分類] 指導
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[背景・ねらい]
- 複数の天敵放飼と、農薬散布による補完を組合わせた一連の防除費用を明らかにした調査は少ない。そこで、施設ナス栽培(半促成栽培)における現地実証試験から、天敵利用体系と慣行防除体系とを比較しながら、防除費用の試算と併せて農家の意識を調査する。
[成果の内容・特徴]
- 慣行防除体系は延べ10回の農薬散布であったが、天敵利用体系では2回の農薬散布と、5種類の天敵の延べ12回の放飼により、慣行防除体系と同等な害虫密度抑制効果が得られる。
- 天敵利用体系では、10a当たり天敵代と農薬費として合計597.2千円、34.3時間の作業を必要とし、慣行防除体系の農薬費は4.5千円、散布作業8.7時間である。天敵利用体系への転換には592.7千円/10aの追加費用を必要とする(表1、2)。この費用は、ナスを23%高く販売するのに見合う金額である。
- 天敵利用体系は減農薬、作業の快適性、作業の安全性において高く評価される。品質・収量差はなく、生産現場における総合評価では、天敵利用体系の評価は高い(図)。
[成果の活用面・留意点]
- 天敵利用体系は、一層の経費低減、天敵防除の効果等について引き続き試験を進めている。
- 害虫の発生は年次変動があり、費用もそれにともなって変動する。
- この成果は半促成ナスに適用でき、農薬散布回数を減らすことができる。
- 実証農家の慣行防除区においてもスポット散布など減農薬化が図られているが、さらに、天敵利用の減農薬生産物としての付加価値販売を検討する必要がある。
[その他]
研究課題名 : ナス科作物の難防除病害虫に対する天敵・拮抗微生物利用技術の開発
予算区分 : 地域基幹
研究期間 : 平成10年度(平成6~10年)
研究担当者 : 松本 功、足立 年一、宮本 誠
発表論文等 : ナス害虫の生物的防除における経営評価、兵庫県農業技術センター研究報告(農業編)、第47号、1999(投稿中).
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