- [要約]
- 米価低落や転作率上昇はともに農家の所得を大きく低下させるが、稲単一経営より複合経営の方が所得の低下は少ない。稲作経営安定対策は稲作農家の所得低下をカバーできず、政策としても農家としても何らかの対処策を創出する必要がある。
兵庫県立中央農業技術センター・経営実験室
[連絡先] 0790-47-1117
[部会名] 営農
[専門] 経済政策
[対象] 稲類
[分類] 行政
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[背景・ねらい]
- ここ数年、米価や転作率は大きく変動した。この変動のもとで、約30ha規模の稲単一経営(A体系:水稲+調整水田)と稲麦複合経営(B体系:水稲+小麦+調整水田)における所得変化を、営農技術体系評価・計画システムFAPSを用いて明らかにする。また稲作経営安定対策の効果も検討する。
[成果の内容・特徴]
- 大幅な米価下落があった97年の所得は96年に比べ、A体系61%、B体系71%であった。転作が拡大された98年はそれぞれ32%、62%となった(表1)。1996年を基準として、米価が10%下落した場合の所得はA体系67%、B体系76%に低下した。転作率が10%上昇した場合はそれぞれ70%、80%となった(表2)。
- 稲作経営安定対策加入で利点が生まれるのは、米価が低落する場合のみである。図1は毎年、下落率5%と10%が継続した場合を想定したものである。安定対策に加入すると3年目までの所得低下率は未加入より小さいが、4年目以降は同率で低下し、所得は未加入より約1年遅れるだけである。
- 以上、米価低落や転作率上昇は、ともに農家の所得を大きく低下させる。その低下は単一経営より複合経営の方が少ない。米価が3~4割下落すると稲作所得はほぼゼロとなる。安定対策は米価下落に対して所得低下を緩和する機能を持つが、大幅な下落に対して稲作農家の所得をカバーする機能はほとんど持ち合わせていない、などが明らかになった。
- 政策的には再生産可能な農業所得を保証する政策が、農家としては複合経営など所得低下を緩和するための経営努力が必要である。
[成果の活用面・留意点]
- 米価下落が予想される中においては、所得低下を緩和する意味において、安定対策への加入のメリットは大きい。
[その他]
研究課題名 : 米価下落が大規模稲作農家に及ぼす影響と技術評価
予算区分 : 県単
研究期間 : 平成10年度(平成10~12年)
研究担当者 : 宮本 誠、松本 功
発表論文等 : なし
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