高圧処理によるユズゼリーの製造


[要約]
ユズゼリーの製造工程として高圧処理(400MPa、20℃、10分)を行うことで、柑橘類の代表的な機能性成分であるヘスペリジン、ナリンギン、アスコルビン酸を多く含み、ゼリー強度低下がなく、加熱殺菌と同等の保存性を有する製品ができる。
島根県しまねの味開発指導センター・加工技術科
[連絡先] 0855-28-1881
[部会名] 流通利用
[専門]    加工利用
[対象]    果樹類
[分類]    研究

[背景・ねらい]
 ゼリーは長期流通を行う際、加熱殺菌が行なわれるのが一般的であるが、果汁由来成分や物性の変化などが懸念される。そこで、殺菌工程に高圧処理を利用することで、機能性成分変化、ゼリー強度低下がなく、保存性の高いユズゼリーを製造する。

[成果の内容・特徴]

  1. 加熱処理ゼリーのゼリー強度、破断荷重は無処理のものより著しく低下するが、高圧処理ゼリーは変化がなく、しっかりしたゼリーが得られる(表1)。
  2. 柑橘類の代表的な機能性成分であるヘスペリジン及びナリンギンは、殺菌処理方法による含有量の差は認められず、加熱や加圧に安定である。そのため、これら成分は果汁含有量がそのまま製品中に移行する(表2)。
  3. 熱による影響を受けやすいアスコルビン酸は、加熱処理をした製品での減少が顕著である。一方、高圧処理によるアスコルビン酸の減少は認められず、加熱殺菌に比べアスコルビン酸を多く含むゼリーが得られる(表2)。
  4. 無処理または200MPa、20℃、10分処理では5日目でカビの発生が確認されるが、400MPa、20℃、10分処理を行うことで、30日以上カビの発生はなく、加熱処理と同等の保存性を有するゼリーが得られる(表3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 高圧処理は加熱処理よりもゼリー強度の低下がないので、使用するゲル化剤の低減が期待できる。
  2. 高圧殺菌処理は、他の果実を用いたゲル化食品に応用可能と考えられるが、酸の少ない果実を原料とする場合、高圧処理条件をあらかじめ検討する必要がある。

[その他]
研究課題名 : 中山間地域の特産品を用いた加工食品の開発
予算区分    : 地域重要新技術
研究期間    : 平成10年度(平成8~10年)
研究担当者 : 仲谷敦志、松崎 一、小川哲郎
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