大吟醸用酒米新品種候補「広系酒29号」


[要約]
葯培養により、大吟醸用酒米新品種候補「広系酒29号」を育成した。「山田錦」よりも5日程度早生で、短稈化して耐倒伏性を強化した。県内の内陸冷涼~温暖地帯に適する。品質・醸造特性は「山田錦」に類似し、良い。
広島県立農業技術センター・生物工学研究所・育種研究室
広島県立農業技術センター・作物研究部
広島県立食品工業技術センター・醗酵食品部
[ 連絡先 ] 0824-29-0521
               0824-29-0521
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[部会名] 作物生産(育種・栽培)
[専門]    育種    
[対象]    稲類
[分類]    普及 

[背景・ねらい]
 広島県は八反系と雄町系の酒米を有している。しかし、これらの品種は心白が大きく高度精白が困難であることから、県内醸造メーカーは広島県に適応性を有する高度精白可能な「山田錦」タイプの県独自品種開発に強い期待を抱いている。これらの要望に応えるべく「山田錦」の早生・短稈化を目的に、育成を進める。

[成果の内容・特徴]

  1. 平成2年に「中生新千本」を母、「山田錦」を父として交配し、 F世代で葯培養を行った。平成11年度から普及地域を限定した準奨励品種として使用する。
  2. 出穂期、成熟期は「山田錦」より約5日早い。生態的には「改良雄町」と同熟の中生の中に属し、標高350m以下の県内内陸冷涼地帯以南で栽培可能である(表1)。
  3. 稈長は「山田錦」より10cm程度短く、耐倒伏性を強化している。草型は穂重型で、 「改良雄町」並びに「山田錦」に比較して穂数はやや少ないが、1穂籾数が多い(表1)。
  4. 収量性は「山田錦」よりやや低く「改良雄町」並である(表1)。
  5. 玄米品質は「山田錦」に類似し、検査等級も良好である。大粒タイプに属するが、千粒重は「改良雄町」並で、「山田錦」よりは1g程度小さい(表1)。
  6. 現地試験の結果から、いもち病抵抗性は「山田錦」に比べ強い(表1)。
  7. 県立食品工業技術センターの調査では、粗蛋白含有率は「山田錦」よりも低く、他の醸造特性についても良好である(表2)。酒造組合員によるきき酒の結果、香り・味共に「山田錦」と同等の評価を得ている。

[成果の活用面・留意点]

  1. 普及対象地域は双三郡三和町、高宮町、東広島の酒米栽培地帯に限定し、良質酒米の生産を図る。普及予定面積は当面50haを目標とする。
  2. いもち病に関しては、基幹防除の徹底に努める。
  3. 耐倒伏性は強化されているが、玄米の低蛋白を維持するため多肥栽培は避ける。

[その他]
研究課題名 : 地帯別ブランド広島米品種の育成
                    主要農作物の優良品種選定・種子生産
予算区分   : 単県、国補
研究期間   : 平成10年度(平成2~10年)
研究担当者 : 土屋隆生、勝場善之助、浦野光一郎、伊藤夫仁、土屋義信、手島義春、土居嘉明
発表論文等 : 大吟醸用酒米新系統「広系酒29号」の育成と広島県の酒米栽培の現状、
         第31回広島県立農業技術センター研究成果発表会要旨集、1999.
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