麦類に対する被覆肥料(LP30)の適用


[要約]
圃場に埋設したLP30から、麦類の栽培期間中に76~89%の窒素が溶出する。追肥相当の窒素量をLP30で代替えし、通常の基肥と同時に施用すれば、成熟期まで良好な肥効が継続するので、施肥の省力化に有望である。
岡山県立農業試験場・作物部
[連絡先] 08695-5-0271
[部会名] 作物生産(育種・栽培)
[専門]    栽培
[対象]    麦類
[分類]    指導

[背景・ねらい]
 大規模な米麦二毛作体系においては、省力的な技術体系の確立が望まれる。そこで、省力的な施肥法として、被覆尿素の中では溶出期間の最も短いLP30の適用性を検討した。

[成果の内容・特徴]

  1. LP30は、25℃の土壌中において約30日で含有窒素の80%が溶出する被覆尿素である。これを麦類に施用すると、播種期からビール大麦の幼穂形成期までに37~34%、幼穂形成期から穂揃期までに19~27%、穂揃期~成熟期までに23~27%の窒素が溶出する。そして、ビール大麦の成熟期には21~24%、小麦成熟期でも11~13%の窒素が残存する(図1)。
  2. 慣行施肥(高度化成肥料分施)における追肥相当の窒素量をLP30で代替えし基肥と同時に施用しても、初期から良好な葉色が示され、全耕点播のビール大麦では慣行施肥にあまり劣らない収量が得られる(表1 A、B区)。また、3~4月からの肥効が優れるので、生育の遅い小麦では慣行施肥に勝る収量が期待される。
  3. ビール大麦の不耕起溝切り点播は省力的で耐倒伏性に優れるが、LP30の施用効果は全耕点播に比べるとやや劣る。この場合、LP30の施用量を増すか1月に高度化成を追加すれば、全耕点播の慣行施肥並の収量が得られる(表1 C、D区)。
  4. LP30の施用により精麦の蛋白含量は0.2~1.2%増加する。また、千粒重も増大することが多い。なお、LP30の窒素施用量が通常の追肥程度であれば、慣行施肥に比べて稈長が長くなることはないが、成熟期は1日程度遅延することがある(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 表1の施肥量はビール大麦の不耕起栽培を対象として設定したものなので、全耕点播栽培や小麦に適用する際には、倒伏及び高蛋白化(11.5%)を招かないよう、総窒素量及び高度化成とLP30の比率を調節する必要がある。
  2. 岡山県南部地帯の標準的な播種期(11月中旬)に適用する。播種期がこれより早い場合は、施用時期を含めた検討を要する。

[その他]
研究課題名 : 稲・麦の連続不耕起栽培技術体系の確立を目指した麦不耕起栽培法の開発
予算区分    : 県単
研究期間    : 平成10年(平成5~8年)
研究担当者 : 杉本真一
発表論文等 : なし
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