- [要約]
- 小麦の外観品質は出穂期前後30日間の降水量が多いと低下しやすい。不耕起栽培での降雨後の土壌水分は土壌深度による水分差が小さく、下層の高水分期間が短い。水稲跡の小麦作では不耕起栽培にすることで慣行栽培より外観品質が向上する。
山口農業試験場・徳佐寒冷地分場・普通作物研究室
[連絡先] 08395-6-0016
[部会名] 作物生産(育種・栽培)
[専門] 栽培
[対象] 麦類
[分類] 指導
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[背景・ねらい]
- 中山間地域の小麦は冬期から春期の湿害によって収量及び品質が低下しやすく、品質が規格外になる小麦は収穫されないことが多い。このことから、まず外観品質の向上のために、出穂期前後の降水量と品質との関係及び耕起法の違いによる土壌水分の変化、小麦の生育、収量、外観品質について検討した。
[成果の内容・特徴]
水稲跡の圃場を用いて、耕起法は耕深12~14cmで全面耕起した区を慣行区、耕深5~6cmで全面耕起した区を浅耕区、播種面を不耕起にして条間の土を部分耕して覆土した区を不耕起区とした。播種は条間50cmと25cmの複条に条播した。
- 品質は、穂長が長く穂数が多くなって倒伏が大きくなると低下し、千粒重が大きくなると向上する。また、出穂期前後30日間の降水量が多くなると品質は低下する(表1)。
- 降雨後の地表下5cmの土壌水分は不耕起区に比べて慣行区が比較的早く減少するが、地表下10cmでは不耕起区の土壌水分が慣行区より少なく、高水分期間が短い(図1)。
- 不耕起区は慣行区に比べて、茎立期から出穂期にかけての生育が劣り、茎数が少なく推移し、穂数が少なくなる。浅耕区は不耕起区と慣行区の中間的な生育を示す。収量は、穂数が少ない不耕起区が概して慣行区に比べて少ない。しかし、出穂後の降雨によって倒伏が大きくなった平成6年は慣行区に比べて不耕起区の収量が多い(表2、3)。
- 不耕起区の品質は慣行区に比べて優れる。また、不耕起区は多肥条件下での品質の低下が慣行区に比べて小さい(表2、3)。
- これらのことから、中山間地域の小麦作は水稲跡では不耕起栽培にすることで品質が慣行区に比べて向上する。
[成果の活用面・留意点]
- 不耕起栽培では播種前に既存雑草を防除する。
- 圃場の選定、排水対策を十分に行い、湿田には作付けをしない。
[その他]
研究課題名 : 高品質麦の安定生産技術の確立
予算区分 : 単県
研究期間 : 平成10年度(平成4~9年)
研究担当者 : 池尻明彦、井上浩一郎、斉藤康正
発表論文等 : なし
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