割り接ぎ用穂木形成器具


[要約]
なす等の割り接ぎ作業に使用する穂木の胚軸をくさび形に切る器具を開発した。この器具を用いれば、接ぎ木作業の経験の有無に関わらず高い活着率が得られる。また、3人組作業により作業能率は大幅に向上する。
大阪府立農林技術センター・企画部・開発普及課
[連絡先] 0729-58-6551
[部会名] 作物生産(機械・施設)
[専門]    機械
[対象]    農業機械
[分類]    普及

[背景・ねらい]
 接ぎ木は、耐病性や低温伸長性、耐暑性等を付与することにより生産を安定化して収量を増加させる技術として広く普及している。なす等の割り接ぎ作業においては、穂木をくさび形に切る作業が最も困難で、高い活着率を得るためには熟練が必要である。また、短時間に大量の苗を処理する必要があり、目の疲れ、肩こりなど作業者への負担が大きい。そこで、穂木を簡易かつ正確にくさび形に切る器具を開発する。

[成果の内容・特徴]

  1. 開発した割り接ぎ用穂木形成器具の切断刃は、市販のカッター刃2枚をV字状に組み合わせたものである。切断作業は、穂木の胚軸を器具上方より2枚のカッター刃の間に差し込み、穂木先端部を引っ張るだけの簡易かつ安全な作業である(図1表1)。
  2. 接ぎ木適期のなす穂木苗の胚軸を器具を用いてくさび形に切ると、個人差が無くくさび角が揃い、両側の切断面の長さの差は手作業に比べ小さい(表2)。
  3. 本器具では同時に2枚のカッター刃が胚軸に切れ込み、1行程で穂木が形成できるので、手作業に比べ作業能率は向上する。また、未経験者でも適切なくさび形に安定して切ることができるため、高い活着率が得られる。なお、2人組作業では穂木の供給に台木形成、クリップ掛け作業が追いつかず作業能率の向上はみられないが、3人組作業では接ぎ木の作業行程をそれぞれ分担できることから作業能率は大幅に向上する(表3)。
  4. 接ぎ木後の養生管理作業は慣行に準じ、生育・収量についても慣行接ぎ木苗と同等である。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本器具を能率よく使うには、胚軸の曲がりが少なく、節間の長い苗が望ましい。
  2. 長時間使用しなかった場合、切断刃に付着した溢泌液が固まり切れ味が落ちているため、刃を交換する。

[その他]
研究課題名 : 農業経営基盤強化技術緊急開発事業
予算区分    : 府単
研究期間    : 平成10年度(平成8~12年)
研究担当者 : 森川信也、高浦裕司
発表論文等 : 特許申請中
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