- [要約]
- アスパラガスの新品種候補「Y6」を育成した。本系統は、標準品種「メリーワシントン500W」、県主要品種「ウエルカム」より春先の萌芽時期が早く、収量・品質も優れる。また、不定胚形成によるクローン苗生産が可能な特性も有する。
広島県立農業技術センター・生物工学研究所・細胞工学研究室
広島県立農業技術センター・園芸研究部
[連絡先] 0824-29-0521
[部会名] 生物工学、野菜・花き(野菜)
[専門] バイテク
[対象] 葉茎菜類
[分類] 普及
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[背景・ねらい]
- アスパラガスは優良な雄株クローン苗の栽培により、収量・品質の安定化と栽培管理上の障害となる実生による雑草化が回避できる。そこでバイオ技術を利用して増殖できる優良な雄株系統を選抜・育成し、現地への普及を図る。
[成果の内容・特徴]
- 平成5年に県内の現地圃場10ヶ所・約2万株から、若茎品質や株当たり収量が優れた雄株100株を選抜した。さらに、不定胚形成が容易な8株を選抜した。これらのクローン苗を養成後、センターの圃場(東広島市八本松町原)に定植(平成7年5月)した。
- 平成8~10年の3ヶ年、露地での慣行の全期立茎栽培法により4~9月の間、収穫調査を実施し、優良な雄株系統として「ウエルカム」由来の「Y6」を選抜した。
- 萌芽は、標準品種「メリーワシントン500W(MW500W)」、県主要品種「ウエルカム」より約5日早く、草丈はほぼ同等である。親茎は両品種に比べ、節間長が長く、茎径が小さい(表1)。
- 収穫本数は、多収・良質品種として県内で普及している「ウエルカム」の1.8倍、収量は1.4倍である。若茎頭部のしまりがよく、品質が揃うため、夏季の上物率も1.3倍である(表2)。
- 若茎の1茎重は「ウエルカム」より小さく(表2)、細い規格の本数が多い。
- 雄株のため、種子形成がなく、実生による雑草化の問題はない(表1)。
- 本系統は現地試験においても多収性が実証され、平成11年度上期に品種登録出願予定である。
[成果の活用面・留意点]
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普及地域は、当面県内の内陸冷涼・温暖地域の既存産地を対象とする。
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- 図1 [具体的データ]
[その他]
研究課題名 : 野菜・花き優良株の低コスト種苗生産システムおよび栽培技術の開発
予算区分 : 県単
研究期間 : 平成10年度(平成10~12年)
研究担当者 : 甲村浩之、伊藤悌右、山口牧恵
発表論文等 : アスパラガスの選抜クローン雄株系統の収量・品質特性、園芸学会雑誌67 別2:349
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