トマトの培養液循環型少量土壌培地耕における培地の長期連用


[要約]
トマトの少量土壌培地耕は、環境への負荷が少ない培養液循環方式の栽培が可能であり、培地を長期間連用しても収量や品質の低下がなく、省力的な栽培を行うことができる。
滋賀県農業試験場・栽培部・野菜係
[連絡先] 0748-46-3081
[部会名]  野菜・花き(野菜)
[専門]     栽培
[対象]     果菜類
[分類]     普及

[背景・ねらい]
 滋賀農試では、低コストな養液栽培システムとして、緩衝能のある土壌を培地とした「少量土壌培地耕」を考案し、技術開発を行ってきた。養液栽培では培養液のかけ流しによる環境への負荷が問題となるため、トマトにおいて培養液の循環利用技術を確立するとともに、作業の省力化を図るため、培地の長期連用について検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 培養液の循環利用は非循環利用に比べて、収量がやや低下するものの、その差はわずかであり、糖度についてもほとんど差がない。(図1)。
  2. 培地連用区の各作において、培養液を循環利用しても土壌病害の発生や生育障害は認められず、培養液の循環利用が可能と思われる(観察)。
  3. 培地を長期間連用しても収量が低下することはなく、対照区と比較してむしろ増収する傾向が認められる。また、果実糖度についても、対照区との差はほとんど認められない(図2)。
  4. 13作後の培地土壌は、リン酸含量とカリ含量が対照区に比べて高いが、問題となる量ではなく、pHやEC値、硝酸態窒素含量には差がない。一方、炭素含量は対照区に比べて、かなり高い。また、物理性は対照区に比べて、気相率に差はないが、固相率が低く、液相率が高い(表1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 培地は底に敷くモミガラを含めて4リットル/株程度必要である。培地土壌は土壌病害の心配のない田土が望ましく、畑土壌を用いる場合は土壌消毒を行う。
  2. 夏期であれば培地上をビニールで覆うことにより容易に培地の太陽熱消毒が可能である。
  3. 収穫打ち切り2週間程度前からは、水のみの給液とし、培地内の肥料成分を減少させておくことが重要である。

[その他]
研究課題名 : 施設野菜のクリーン・省力生産技術の開発
予算区分    : 県単
研究期間    : 平成10年度(平成2~10年)
研究担当者 : 吉沢克彦(H2~7)、大谷博実(H8)、猪田有美(H9~10)
論文発表等 : 果菜類の少量土壌培地耕に関する研究(第2報)キュウリ・トマト栽培における培養液管理法、滋賀県農業試験場研究報告、38号、1997.
                   果菜類の少量土壌培地耕に関する研究、トマト栽培における培地の連用が生育、収量に及ぼす影響、園芸学会近畿支部京都大会研究発表要旨、7、1996.
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