と畜時の低電圧電気刺激処理による牛肉の品質向上


[要約]
と畜時の牛体に、低電圧電気刺激処理(電圧21V)を行うことにより、肉が柔らかくなり、また、肉色では明度、赤味が強くなるなど外観が良くなり、牛肉の品質が向上する。
山口県畜産試験場・飼養技術部・家畜飼養グループ
[連絡先] 0837-52-0258
[部会名] 畜産、流通利用
[専 門] 加工利用
[対 象] 肉用牛
[分 類] 指導

[背景・ねらい]
 電気刺激処理は、死後硬直を短時間に終了させ、肉を軟らかくすることができる。しかしながら、これまでの成績は電圧が比較的高いものが多く、低電圧によるものは少ない。そこで、牛肉の高品質化をねらいとして、と畜時の牛体に与える低電圧電気刺激が、牛肉の品質に及ぼす影響について検討した。

[成果の内容・特徴]

  1. 電気刺激装置には、低電圧刺激装置(ビーフスティミュレーター)を使用した。本装置の一方の電極を、と畜場の牛体吊り下げ用のフレーム部に接続し(アース)、他方の電極を放血のために牛を吊り下げたときに、牛の鼻部に接続する。放血中に電圧21V10秒間の電気刺激を加える(図1)。
  2. 電気刺激処理することにより、無処理区に比べて胸最長筋(リブロース~サーロインロース)、半膜様筋(うちもも)とも、剪断力価が小さくなる(肉が軟らかくなる)(表2)。
  3. 加熱損失(クッキングロス)は両筋肉において多くなる。
  4. pHは変わらない。伸展率(弾力、伸びやすさ)は、半膜様筋の14日後では小さくなったが、他では有意差はない。
  5. 肉色は両筋肉ともa* 値が大きくなり(赤味が強くなる)、また、赤味の持続期間も長くなる。半膜様筋ではL* 値も大きくなる(明度が強くなる)(表3)。
  6. と畜時の低電圧電気刺激処理により、と畜後の早い時期から肉が軟らかくなり、通常の熟成期間(7~14日)より早く食用に供することが可能となる。また、赤味や明度が強くなるなど外観が良くなり、本処理は牛肉の品質向上の有効な手法のひとつである。

[成果の活用面・留意点]

  1. 加熱損失が多くなる。
  2. 本装置は、と畜場のフレームに配線(アース)するため、持ち運びには不向きである。
表1 [具体的データ]

[その他]
研究課題名:飼養条件、保存条件が牛肉の肉質に及ぼす影響
予算区分 :県単
研究期間 :平成11年度(平成8~11年度)
研究担当者:岡崎 亮、小林 清敬
論文発表等:なし

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