乳酸菌給与による離乳子豚の下痢発生防止


[要約]
離乳子豚の豚房移動(35日齢)時から3週間、乳酸菌製剤を飼料に0.1%添加して給与したところ、下痢の延べ発生回数は無添加区より74%に減少し、好中球NBT還元能が抗菌剤区より有意に増加して抗病性が向上する。
京都府畜産研究所・中小家畜部
[連絡先] 0773-47-0301
[部会名] 畜産
[専 門] 飼育管理
[対 象] 豚
[分 類] 研究

[背景・ねらい]
 離乳や豚房移動時は、飼料や環境の変化が子豚にストレスとして働き、下痢による発育停滞や疾病に対する抵抗性の低下などの誘引となるため、疾病対策の抗菌剤が多用される状況にある。しかし、安全な畜産物の生産や低コスト生産の観点からは、抗菌剤の使用量は少ないことが望ましい。
 そこで非抗菌性物質である乳酸菌製剤を利用することにより、下痢の発生を抑制して発育を向上させる飼養管理法について検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 離乳子豚15頭(1区当たり5頭)を供試し、試験期間は、35日齢(豚房移動直後)から77日齢までとする。基礎飼料は市販の子豚用配合飼料(35~39日齢:DCP20%以上 TDN85%以上、40~59日齢:DCP16.5%以上 TDN80%以上、60~77日齢:DCP14%以上 TDN78%以上)とする。乳酸菌区は、豚腸管由来株の Enterococcus faecalis Lactobacillus acidophilus とフルクトオリゴ糖を含む製剤を飼料に0.1%添加する。添加期間は、乳酸菌区が35~56日齢、抗菌剤は35~42日齢とする。
  2. 77日齢までの下痢の延べ発生回数は無添加区と比較して、抗菌剤区が52%、乳酸菌区が74%に減少する(表1)。
  3. 乳酸菌区の子豚の増体量は、各週齢とも無添加区を上回り、抗菌剤区と同等の成績である(表2)。
  4. 乳酸菌区と無添加区の好中球NBT還元能は、63日齢で抗菌剤区に比べ有意に増加する(表3)。
  5. アクチノバシラス症ワクチンを35及び70日齢に接種したところ、抗体価に有意差は認められない(表4)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 豚房は、スノコ式の構造であり、水洗乾燥後、離乳子豚を導入する直前に逆性石けん液を散布し、消毒する。
  2. 乳酸菌製剤は、フルクトオリゴ糖を混合した粉剤であり、飼料は3週間分までをまとめて配合し、冷所貯蔵する。
  3. 飼料価格は、乳酸菌添加で2.2円/㎏、抗菌剤添加で9.2円/㎏高くなる。

[その他]
研究課題名:抗菌製剤使用の低減を目指した子豚の発育向上試験
予算区分 :府単
研究期間 :平成10年度(平成9~11年)
研究担当者:八谷純一、山本哲也、岩井俊暁
発表論文等:抗菌製剤使用の低減を目指した子豚の発育向上試験、京都畜研成績、39号掲載予定

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