ドナー胚のガラス化保存技術
- [要約]
- 受精卵核移植のドナー胚として、体外受精4日目胚をガラス化保存し、融解後一日培養して核移植を行うと、胚盤胞への発生率が高い。核移植後の胚盤胞を移植して産子が得られる。
兵庫県立中央農業技術センター生物工学研究所
[連絡先] 0790-47-1117
[部会名] 畜産
[専 門] 繁殖
[対 象] 肉用牛
[分 類] 研究
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[背景・ねらい]
- 受精卵クローン牛生産技術では、ドナー胚の確保が必要である。初期胚の生存性が高い超急速ガラス化保存法を用いて、体外受精後の初期胚をガラス化保存し、保存するドナー胚の発生日齢が核移植後の発生率に及ぼす影響を調べた。また、核移植によって作製した胚盤胞の移植による子牛生産を試みた。
[成果の内容・特徴]
- 体外受精および体外培養はUllahらの方法(1997)に準じて行った。受精4日目と5日目の16~32細胞期胚を超急速ガラス化保存法で保存した。
- ガラス化方法としてはVajtaらの方法(1998)を用いた。
ガラス化液(0.6Mシュクロース+20%エチレングリコール+20%デムゾを含む20%血清加TCM199液)に胚を入れ、少量のガラス化液とともに胚をストローに吸引後、液体窒素へ浸漬して保存した。融解は、加温した0.25Mシュクロースを含む33%血清加TCM199液にストローを浸漬して行い、培養液へと移し変えた。4日目のガラス化胚は融解後1日間、5日目のガラス化胚は融解後短時間培養し、核移植に用いた。
- 核移植用のレシピエント卵子を作成するために、未受精卵子を押し出し法で除核し、活性化処理を行った。ドナー割球をレシピエント卵子内へ挿入し、電気刺激で両者を融合させた。融合後の胚を7~8日間培養して発生率を比較した。
- ガラス化保存するドナー胚の発生日齢別の核移植成績では、融合率には差がなく、分割率と胚盤胞率において、4日目ガラス化胚の方が有意に高かった(表1、図1)。
- 経腟採卵技術で採取した卵子に体外受精を行い、4日目胚をガラス化し、8日間保存した。核移植の前日に融解し、一日培養した胚をドナー割球として核移植を行った。発生した3個の胚盤胞を3頭に移植した結果、1頭の産子が得られた(表2、図2)。
[成果の活用面・留意点]
ドナー胚を随時融解して核移植が行えるため、計画的な核移植作業が可能になる。
[その他]
研究課題名:高能力クローン牛の効率的生産技術の開発
予算区分 :国庫補助、地域先端
研究期間 :平成10年度(平成9~13年)
研究担当者:浜田由佳子、冨永敬一郎、有吉哲志
発表論文等:ウシ体外受精由来初期胚のガラス化日齢が核移植後の発生率に及ぼす影響、第97回日本畜産学会、口頭発表、2000.
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