乳用牛群検定サンプル乳を用いたPITⅠ遺伝子制限酵素長多型の判定


[要約]
牛群検定サンプル乳中の体細胞からPITⅠ遺伝子が増幅できた。PITⅠ遺伝子を制限酵素HinfⅠで切断した遺伝子型は血液から抽出したDNAをサンプルにしたものと完全に一致した。PITⅠの遺伝子型頻度はAA型:AB型:BB型=7:56:65であった。
兵庫県立淡路農業技術センター・畜産部
[連絡先] 0799-42-4883
[部会名] 畜産
[専 門] 遺伝資源
[対 象] 乳用牛
[分 類] 研究

[背景・ねらい]
 酪農の生産性向上には飼養管理技術と共に遺伝的改良が重要な課題である。現在、表現型値や育種価を指標に改良を行っているが、さらに効率化を図るために泌乳形質に関与する遺伝子について研究が進められている。成長ホルモン因子1/下垂体特異的転写因子PITⅠ遺伝子はプロラクチンや成長ホルモン遺伝子の発現、下垂体細胞の分化増殖に関与し、泌乳形質の遺伝的多様性のマーカーになりうる可能性が示唆されている。そこで、毎月一度生乳検査所に送られる牛群検定サンプル乳中の体細胞を用いてのPITⅠ遺伝子増幅を検討し、PITⅠ遺伝子の制限酵素長多型の頻度を調査する。

[成果の内容・特徴]

  1. 137個体より牛群検定サンプル乳(検定乳)156検体を処理し(図1)、PCR法によりPITⅠ遺伝子増幅を行ったところ、128個体141検体から産物が得られた。体細胞数10万未満と10万以上に分割して(表1)フィッシャーの直接確率検定を行ったが、産物が得られた検体と産物が得られなかった検体間で体細胞数に有意差は認められない。
  2. PITⅠ遺伝子には制限酵素HinfⅠで切断されない451bpのAアリール、244bpと207bpに切断されるBアリールが見られ、遺伝子型はAA型、AB型、BB型の3型に区分される(図2)。
  3. 検定乳から処理した128個体のPITⅠ遺伝子制限酵素長多型頻度は、AA型:AB型:BB型=7:56:65であった(表2)。
  4. PCR産物が得られた141検体中34検体(個体数18)について、血液からDNA抽出を行いPITⅠ遺伝子型を調べたところ、全サンプルで遺伝子型が一致した。
  5. 検定乳の処理サンプルは120日間の-20℃での冷凍保存が可能であった。

[成果の活用面・留意点]

     牛群検定サンプル乳を用いることでサンプル収集の手間をかけずに遺伝子検査が行える。なお、簡易なサンプル処理法を用いたためサンプル中にタンパク質が含まれていると思われ、保存性についてはさらに検討が必要である。

[その他]
研究課題名:群検定普及定着化事業
予算区分 :県単
研究期間 :平成11年度
研究担当者:廣崎 里麻

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