豚凍結精液の実用化技術


[要約]
豚精子を凍結保存するため、凍結容器を0.5ml(直径3mm)牛用ストロー、希釈液の糖をトレハロース、凍結方法を二段階法、融解後の希釈液をモデナ液とするなどして改善し、受胎成績が液状精液の人工授精と同等となった。
岡山県総合畜産センター・経営開発部・和牛改良部・中小家畜部
[連絡先] 0867-27-3321
[部会名] 畜産
[専 門] 繁殖
[対 象] 豚
[分 類] 研究

[背景・ねらい]
 近年、種雄豚の効率的な活用を図るため、液状精液による人工授精が普及しつつある。 しかし、通常行われている15℃保存では、保存精液が無駄になる場合や、輸送回数の増加による経費の負担などが問題となっている。このため、長期保存が可能な凍結精液の実用化が望まれているので、豚の凍結精液製造技術を改良する。

[成果の内容・特徴]

  1. 豚精液を凍結する容器を変え、融解後の精子活力を向上させた(表1)。
    従来の5ml(直径6mm)ストローから、牛精液の凍結に用いられている、0.5ml(直径3mm)ストローへ変えた。
  2. 希釈液の糖をトレハロースへ変え、融解後の精子活力を向上させた(表2)。
    従来のラクトースから、冷凍・冷蔵時に蛋白質変成防止効果があるとされているトレハロースへ変えた。
  3. 凍結手法を二段階法へ変えた。
    従来の液体窒素液面上4㎝で20分保持する方法から、約-120℃の窒素ガス中で氷晶後、-150℃以下の窒素ガス中で再度1分保持する方法へ変えた。
  4. 融解後の希釈液をモデナ液とした。
    従来はNST-1液であったが、近年豚液状精液の保存に有効性が確認されている、モデナ液へ変えた。
  5. 受胎試験では受胎率100%、平均産子数9.2頭であった(表3)。
    5頭のバークシャー種繁殖雌豚に1発情当たり2回人工授精したところ、注入精子数100億、総精液量 90ml が最も良い成績となった。

[成果の活用面・留意点]

  1. 凍結時グリセリン濃度は、従来どおり3%。
  2. 凍結精液を融解後、モデナ液で希釈し発情雌豚へ注入が完了するまでは20分以内。
  3. 人工授精は、発情開始後24時間目に1回目、その後6~12時間後に2回目を行う。

[その他]
研究課題名:豚凍結精液の実用化試験
予算区分 :単県
研究期間 :平成11年度(平成8~12年)
研究担当者:河原宏一、原田 護、石川和人、小田頼政、野上與志郎、辻 誠之、山本 洋、古好秀男
発表論文等:岡山県総合畜産センター研究報告、9号、1-6、1998. 10号、37-42、1999. 11号(掲載予定)

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