クローン技術により生産された黒毛和種雌牛の繁殖能力
- [要約]
- 体外受精卵由来の黒毛和種雌クローン牛に人工授精を行い、正常産子が得られた。また、体内受精卵由来の4つ子の雌クローン牛に過剰排卵処理を行った結果、全頭から正常受精卵が採取でき、一部を移植した結果、正常産子が得られた。
山口県畜産試験場・改良増殖部・先端技術グループ
[連絡先] 0837-52-0258
[部会名] 畜産
[専 門] 繁殖
[対 象] 肉用牛
[分 類] 研究
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[背景・ねらい]
- 核移植(クローン)技術は、同一遺伝子を持つ胚を複数生産することが可能なため、優良牛の効率的増産を図る技術として研究され、現在、受精卵クローン牛は全国ですでに500頭以上が生産されている。しかし、クローン技術によって生産された個体の繁殖能力に関する報告は少ない。
- そこで今回、雌クローン牛へ人工授精及び過剰排卵処理を行い繁殖能力の検討を行った。
[成果の内容・特徴]
- 体外受精卵由来の雌クローン牛1頭と体内受精卵由来の1卵性4つ子の雌クローン牛4頭の繁殖能力について調査した。
- 雌クローン牛の春期発動は、9ヶ月齢よりみられた。
- 体外受精卵由来の雌クローン牛1頭は、14ヶ月齢で人工授精を行った結果、1回の人工授精で受胎し、23.0kgの雄を分娩した。妊娠期間は、292日であった。
- 体内受精卵由来の1卵性4つ子の雌クローン牛4頭は、過剰排卵処理を行い、ホルモンに対する反応性、採卵成績及び得られた受精卵の受胎性を調査した。過剰排卵処理は、膣内挿入型持続性黄体ホルモン製剤(CIDR)を用い、35日間隔で12ヶ月齢と13ヶ月齢の2回連続採卵を行った。処理方法は、性周期に関係なくCIDRを12日間挿入し、挿入後10日目よりFSH20AUの3日間減量投与を行い、12日目のCIDR除去時にプロスタグランジンF2α(クロプロステノールとして750μg)を投与した。人工授精は、発情に合わせて2回実施した。
- その結果、全頭がホルモンに反応し正常な受精卵が得られた(表1)。
- 得られた受精卵の内3卵を3頭の受卵牛(F1牛)に移植したところ、1頭が受胎した(表2)。
- 受胎した1頭は、28.0kgの雌を分娩した。妊娠期間は、283日であった。
[成果の活用面・留意点]
雌クローン牛の繁殖能力に問題のないことが確認できたことにより、優良牛の効率的増産にクローン技術応用の可能性が示された。
[その他]
研究課題名:和牛の優良遺伝子の複製による優良胚の大量生産技術の開発
予算区分 :国庫 雌雄産み分け技術利用促進事業(核移植型)
研究期間 :平成11年度(平成7~11年)
研究担当者:市野清博、石井俊昭、竹下和久、井上愛子、松崎伸生
発表論文等:1卵性4つ子クローンの発育相似性について、第10回西日本胚移植研究会講演要旨、1999
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