核移植におけるレシピエント卵子の除核のための成熟培養時間
- [要約]
- レシピエント卵子の除核操作は、成熟培養時間を18~19時間にすると22~23時間の場合に比べ第1極体と卵子細胞内核との遊離の割合が少なく、除核率も83.9%と有意に高くなる。
山口県畜産試験場・改良増殖部・先端技術グループ
[連絡先] 0837-52-0258
[部会名] 畜産
[専 門] 繁殖
[対 象] 肉用牛
[分 類] 研究
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[背景・ねらい]
- レシピエント卵子の除核操作は、成熟培養し卵丘細胞を除去した後、卵子側の核が視覚で確認できないため、卵子側の核に隣接して存在する第1極体を目印に行っている。しかし、機械的な卵丘細胞除去操作により第1極体と卵子細胞質内の核が遊離する卵子が認められている。
- そこで今回、卵丘細胞除去までの成熟培養時間の違いによる第1極体遊離状況、また、同時間で除核操作を行った場合の除核成績を検討した。
[成果の内容・特徴]
- 食肉処理場で採取した卵巣から吸引採卵した卵子は、5%子牛血清加199培地(FSH0.02AU/ml )を用いて5%CO2 、95%空気の気相下で18~19時間及び22~23時間成熟培養する。
- 成熟卵子は、0.2%ヒアルロニダーゼ液で酵素処理し、VORTEXとピペッティングにより機械的に卵子周囲の卵丘細胞を除去する。
- 除核操作は、卵子側の核が視覚で確認できないため、卵子の核に隣接して存在する第1極体を目印に核を含むと思われる卵子の細胞質部分を透明帯の切開部分から第1極体と一緒に押し出して行う(図1)。
- 核の検索は、5μg/ml ヘキスト33324で蛍光染色し行う。
- 成熟培養時間別の第1極体放出率は、18~19時間で68.9%、22~23時間では71.7%と差はない。
- 成熟培養時間を18~19時間とした場合、卵丘細胞除去後の第1極体が正常位から遊離したものの割合は9.1%と、22~23時間の場合の36.1%に比べ有意に少なくなる。(図2、表1)。
- 同様の時間で除核操作を行った場合、除核率は、第1極体の遊離が少ない18~19時間では83.9%と22~23時間の61.5%に比べ有意に高くなる(表2)。
[成果の活用面・留意点]
除核操作は、成熟培養後18~19時間目に卵丘細胞除去操作を行い、除核することにより、確実な除核が可能となり効率的にレシピエント卵子を作成することができる。
[その他]
研究課題名:和牛の優良遺伝子の複製による優良胚の大量生産技術の開発
予算区分 :国庫 雌雄産み分け技術利用促進事業(核移植型)
研究期間 :平成11年度(平成7~11年)
研究担当者:市野清博、石井俊昭、竹下和久、井上愛子、松崎伸生
発表論文等:核移植によるクローン胚生産技術の検討(第1報)、平成9年度日本産業動物獣医学会年次大会、124-125、1998.
核移植によるクローン胚生産技術の検討(第1報)、山口県畜産試験場研究報告第14号、27-34、1998.
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