傾斜ススキ型草地に放牧牛の糞中種子によって散布されるシバの出芽条件
- [要約]
- 傾斜地で放牧牛の糞中種子を利用したシバ種子の散布を行う場合,散布の効果は緩傾斜地ほど期待でき,その地点の環境はシバ種子の出芽に対して好適な条件下にある。
中国農業試験場・畜産部・草地飼料作物研究室
[連絡先] 08548-2-0144
[部会名] 畜産
[専 門] 生態
[対 象] 野草類
[分 類] 研究
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[背景・ねらい]
- シバ草地の保全的造成法の一つとして,放牧牛の糞中種子を利用した種子散布が考えられている。しかし,傾斜地では放牧圧(採食・踏圧・排糞)の分布が地形の影響で不均一となるため,その効果は地形によって一様ではないと考えられる。その実態を傾斜ススキ型草地において検討する。
[成果の内容・特徴]
- ススキの株数および基底部合計面積は,斜面傾斜角の増加に伴って高まるものの,牛道の発達が顕著となる斜面傾斜角16゚付近を境に再び低下する(図1)。
- 放牧期間中におけるススキの平均的な冠部被覆面積は,その基底部合計面積と有意な正の相関関係( p<0.05 )にある。
- シバの出芽率は,ススキの被覆率および草丈との関係において,前者と有意な負の相関関係( p<0.05 )にある(表1)。
- シバの定着可能面積は斜面傾斜角の増加に伴って急激に小さくなる傾向にあり,侵入種子量を規制する糞の落下量も斜面傾斜角の増加に伴って急激に少なくなる傾向にある(図1,表2)。
- 以上より,放牧牛の糞中種子を利用したシバ種子の散布効果は緩傾斜地ほど期待でき,その地点の環境は散布された種子の出芽に対して好適な条件下にある。
[成果の活用面・留意点]
- 放牧牛の糞中種子を利用した傾斜地へのシバ導入のための基礎資料となる。
- 植生のタイプがススキ型草地とは異なる場合は,別途検討する必要がある。
- シバの糞中種子については近畿中国農業研究成果情報(平成7年度)P.323-324を参照。
[その他]
研究課題名:糞中種子による傾斜ススキ草地へのシバ侵入様式の解明
予算区分 :経常
研究期間 :平成11年度(平成9~11年)
研究担当者:井出保行、斎藤誠司、高橋佳孝、佐藤節郎
発表論文等:傾斜ススキ草地への効率的なシバ導入法 1、日草誌45(別)、38 - 39、1999.
傾斜ススキ草地への効率的なシバ導入法 2、日草誌45(別)、40 - 41、1999.
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