岡山県における余剰樹園地の実態と農協営農指導員の考える流動化停滞理由


[要約]
余剰樹園地は流動化されずに耕作放棄園化に向かっており、その6割が植え付けたままの状態で放棄されている。また、農協営農指導員は流動化が進まない理由として、樹園地貸借のルールがないことや貸借調整役の機能が弱いこと等を指摘している。
岡山県農業総合センター農業試験場・経営調査研究室
[連絡先] 08695-5-0271
[部会名] 営農
[専 門] 経済構造
[対 象] 果樹類
[分 類] 行政

[背景・ねらい]
 樹園地の流動化については実態や現場の捉え方が必ずしも把握されていない。そのため、本県の主要果樹(モモ、ブドウ、ナシ)を管内にもつ農協営農指導員(44名、本県主要果樹栽培面積の83.5%をカバー)へのアンケート調査(1999年9月実施)により、生産の継続が不可能になった「余剰樹園地」の実態と流動化が進まない理由について明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. アンケート調査実施農協管内の主要果樹にかかる耕作放棄園は約100haであり、県全体では120ha程度になると推察される。また、植え付けたままの状態で放棄されている樹園地がそのうちの約6割に達する(表1)。
  2. 樹園地の貸借は県下で40~50haと推察され、余剰樹園地の流動化は進んでいない。貸借内容では、貸借期間や返却条件を特には定めず、貸し手と借り手が当事者間だけで樹体(地上部)を含めた貸借が多い。また、借地料として63.6%の回答が「無料」であった(表2)。これらのことから、借り手市場の状況下にあるにもかかわらず、生産者の高齢化等によって流動化が進まない状況にあると考えられる。
  3. 樹園地の流動化が進まない理由として農協営農指導員が考えていることは、担い手不足や樹園地の不良化に加えて、樹園地貸借に伴う契約上の不安(表3の№1、3、4)を特に貸し手側の理由として強く指摘している(表3)。
  4. このことから、余剰樹園地を円滑に流動化していくためには、一つに担い手確保の努力を払いつつ、二つに樹園地のハード面での条件整備を進めるほかに、三つに客観的な地代の目安を作成し、それをもとに農業委員会等の調整機関が積極的に貸借調整に関与していくことで樹園地貸借当事者間の契約上の不安を解消していくことが必要条件になってくると考えられる。

[成果の活用面・留意点]

     樹園地の耕作放棄や貸借の実態把握は、農協営農指導員の情報量の多少に左右される。そのため、面積については、彼らが現在把握している量としてとらえる必要がある。

[その他]
研究課題名:果樹産地再編に対応した担い手確保支援システムの確立
予算区分 :県単
研究期間 :平成11年度(平成11~13年)
研究担当者:山本晃郎

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