広島県におけるモモ新品種「なつおとめ」の特性
- [要約]
- 農林水産省果樹試験場で育成された「なつおとめ」は、広島県では7月中旬から8月中旬に成熟する中晩生品種である。果実糖度は、同時期に成熟する他の品種と同等以上で、年次変動と樹内変動が小さい。
広島県立農業技術センター・果樹研究所・落葉果樹研究室
[連絡先] 0846-45-1225
[部会名] 果樹
[専 門] 育種
[対 象] 果樹類
[分 類] 普及
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[背景・ねらい]
- 広島県の主要な中晩生品種は「清水白桃」であるが、果実糖度の年次変動や樹内変動が大きく問題となっている。このため、果実糖度が安定した新品種が待ち望まれている。平成4年から開始された系統適応性検定試験の筑波111号(「なつおとめ」として平成11年8月に農林登録された)は、当研究所において「清水白桃」と成熟期がほぼ同じであり、果実糖度が安定して高いことが明らかとなった。しかし、モモは気象条件や土壌条件によって、果実形質や成熟期が変動するため、県内の主要モモ産地での適応性を検討する。
[成果の内容・特徴]
- 平成5~8年の「なつおとめ」の開花盛期は、当研究所では4月9日(4月4~14日)で、「清水白桃」より3日早い(表1)。また、平成11年の県内各地域では4月3~20日と差が認められる(図表省略)。なお、当研究所の2~3月の平均気温と開花盛期との間に高い負の相関がある(r=-0.81* )。
- 平成5~8年の成熟期は、当研究所では8月6日(8月3~9日)で、「清水白桃」より1日遅い(表1)。また、平成11年の県内各地域では7月26日~8月19日と差が認められる(図表省略)。開花盛期から成熟期までの日数は、104~121日で年度と地域により異なる(図表省略)。
- 果実糖度は、対照品種と同等以上で樹内変動が小さい(表1、2)。
- 「なつおとめ」の果実糖度と収穫前20日間の降水量および日照時間との重相関係数は0.27で、「清水白桃」の0.93* より低く、気象の影響を受けにくい(図表省略)。
- 1果重は、神辺町を除いて対照品種とほぼ同等であり、生理的落果は微~少、玉揃いはやや良~良である(表2)。
- 核割れ果率は、圃場容水量が少ない尾道市では高いが、それ以外の地域では0%である(表2)。
- 蜜症果率は、収穫時期が遅いほど、また、果肉硬度が3.5kg/cm2 以下で高い(図1、2)。
[成果の活用面・留意点]
- 果肉硬度が低い果実は蜜症果率が高いため、果肉硬度が3.5kg/cm2 以下にならないうちに収穫する。
- 「なつおとめ」と成熟期が同じで、果実糖度の年次変動や樹内変動が問題となっている品種の代替として導入できる。
[その他]
研究課題名:果樹の戦略・有望品種の早期選抜試験
予算区分 :県単
研究期間 :平成11年度(平成8~13年)
研究担当者:赤阪信二、加納徹治
発表論文等:なし
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