台風被害によるカキの早期落葉と樹体への影響


[要約]
秋季の台風によるカキ樹の早期落葉は、枝梢中のデンプン含量を減少させ、翌年の着蕾や果実肥大にも影響する。
和歌山県農林水産総合技術センター果樹園芸試験場・紀北分場
[連絡先] 0736-73-2274
[部会名] 果樹
[専 門] 生理
[対 象] 果樹類
[分 類] 指導

[背景・ねらい]
 1998年9月22日に和歌山県中部に上陸した台風7号は、収穫期に入ったカキ産地に甚大な被害をもたらした。そこで、台風通過直後にカキ「刀根早生」樹に摘葉処理を行い、早期落葉が被害当年の貯蔵養分および翌年の樹体・果実生育に及ぼす影響を明らかにし、台風被害後の樹体管理について検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 摘葉区の枝梢中のデンプン含量は対照区に比べ低く、発芽前の3月上旬には対照区との差が大きくなり、100%摘葉区は最も低くなる。100%摘葉区の枝梢中の糖含量は、12月下旬には対照区に比べやや低くなる(図1)。
  2. 100%摘葉区では対照区に比べて、発芽で1日、展葉で5日、開花盛期で1日遅れる(表1)。
  3. 新梢長、新梢数では摘葉処理による差は認められないが、着蕾数は摘葉区で少なく、1蕾重および葉面積は100%摘葉区で小さい(表2)。葉色は摘葉程度が強いほど劣る。
  4. 摘葉区の果実の生育は、対照区に比べて劣る(図2)。
  5. 果実重は摘葉の程度が強いほど小さくなり、果皮色は果頂部では対照区で優れた。摘葉区の糖度は対照区に比べてやや低い(表3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 台風により落葉した樹では、出荷に適さない傷果を中心に早期に採取し、着果負担の軽減を行って、枝梢の貯蔵養分の蓄積を図る。
  2. 翌年の摘蕾・摘果は早期に行い、貯蔵養分の果実への効率的な分配を促進させる。
  3. 「平核無」、「富有」でも同様の傾向が認められる。

[その他]
研究課題名:台風7号による果樹被害発生機構の解明及び対策技術に関する緊急研究
予算区分 :国費委託(科学技術振興調整費)
研究期間 :平成10年度
研究担当者:播磨真志、川尾尚史、和中学、土田靖久、北野欣信(現果樹試験場カキ・ブドウ支場)
発表論文等:台風7号による果樹被害発生機構の解明及び対策技術に閑する緊急研究成果報告書(科学技術庁、1998)
      早期落葉がカキ樹の早期落葉に及ぼす影響、園芸学雑誌、69巻、別冊1号、209、2000.

目次へ戻る