環境要因の変化に対する果樹のアコースティックエミッション反応
- [要約]
- モモおよびウンシュウミカンでは、環境要因の変化に伴いアコースティックエミッション(音の放出、以下AE)が発生する。AEの発生回数から、樹体の水ストレスを把握することが可能である
広島県立農業技術センター果樹研究所・落葉果樹研究室
農業工学研究所・農地整備部・農業施設環境制御研究室
[連絡先] 0846-45-1225、0298-38-7655
[部会名] 果樹
[専 門] 情報処理
[対 象] 果樹類
[分 類] 研究
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[背景・ねらい]
- モモおよびウンシュウミカンでは、果実糖度を高めるために土壌水分の制限が行われている。しかし、樹体の水ストレスを把握するには、土壌水分の測定だけでは不十分なため、植物生体情報に基づいた水ストレス制御技術の開発が望まれている。マツ科やヒルギ科の樹木では、強い水ストレスを受けると、導管内の空洞(cavitation)発生に伴いAEが発生することが知られている。そこで、モモおよびウンシュウミカンの環境要因の変化に対するAE反応を調査し、樹体の水ストレス程度を把握する手段としての可能性を検討する。
[成果の内容・特徴]
- モモ新梢のAE発生回数は、夜間は少ないが、午前7時頃から増加し、環境要因の変化に伴って変動し、夜間は再び減少する(図1)。また、1日当たりのAE発生回数は、曇雨天日より晴天日のほうが多い。
- モモ新梢の1時間当たりのAE発生回数と気温、飽差およびPPF(光合成有効光量子束)との単相関係数は、0.65~0.90(1%で有意)である(図表省略)。しかし、AE発生回数は、環境要因の変化にやや遅れて増減する(図1)。
- モモ樹全体を遮光または全摘葉して葉からの蒸散を抑えると、AEはほとんど発生しない(図表省略)。
- ウンシュウミカンの1日当たりのAE発生回数は、土壌含水率が11%以上では少ないが10%以下では急増し、かん水によって土壌含水率が高まると著しく減少する(図2)。また、AE計測回数が急増する日に、果実横径の日変化量がマイナスとなる。
[成果の活用面・留意点]
- モーターのON・OFF等に伴う電気的ノイズや、強い風により発生するノイズに注意する。
- AE計測に基づく樹体の水ストレス制御が、果実形質に及ぼす影響を明らかにする必要がある。
[その他]
研究課題名:AE計測による果樹の水ストレス把握技術の開発
予算区分 :県単
研究期間 :平成11年度(平成11~12年)
研究担当者:赤阪信二、今井俊治* (広島県果樹研究所、*:現広島県農林水産部)
奥島里美、邱国玉** 、佐瀬勘紀(農業工学研究所、**:現国立環境研究所)
発表論文等:環境要因の変化に対する果樹のアコースティックエミッション反応、日本生物環境調節学会1999年大会(講演要旨)、268-269、1999.
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