ガンマ線照射によって得られた黒斑病耐病性‘清水白桃’
- [要約]
- ガンマ線を照射した苗木から選抜したモモ‘清水白桃’の黒斑病耐病性系統は果実、葉、枝において中程度の耐病性を有しており、黒斑病自然発生圃場においても発病が少ない。
岡山県農業総合センター・農業試験場・病虫研究室、果樹研究室
[連絡先] 08695-5-0271
[部会名] 生産環境(病害虫)
[専 門] 作物病害
[対 象] 果樹類
[分 類] 普及
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[背景・ねらい]
- 岡山県特産のモモ‘清水白桃’は黒斑病に弱く、薬剤だけでは散布回数を多くしても防除が難しい。そこで、ガンマ線照射で突然変異を誘発させることにより、黒斑病に強い‘清水白桃’を作出する。
[成果の内容・特徴]
- 平成8~10年の12月に‘清水白桃’の1年生苗木300本ずつに線量50~200Gyでガンマ線を急照射(20h)して圃場に植え付けたところ、120Gy以上で芽の枯死、160Gy以上では新梢の萎縮や苗木の枯死などの障害がみられた。
- 葉の裏面への接種試験で黒斑病菌に対する耐病性を検定したところ、3年間の計5,532芽のうち、平成8年の200Gy区から1系統の耐病性突然変異系統(97C12-5)を選抜した。
- 本系統の果実、葉、枝での耐病性は‘清水白桃’に比べると強いが、完全ではなく中程度で(表1、2、3)、3か年とも同様の検定結果である。
- 自然発生圃場に植え付けた本系統の芽接ぎ苗は、‘清水白桃’に比べて葉の発病が少ない(表4)。
- 本系統の成熟果実の諸形質は‘清水白桃’とほぼ同等である。
以上の結果、ガンマ線を照射した苗木から選抜したモモ‘清水白桃’の黒斑病耐病性系統は果実、葉、枝において中程度の耐病性を有しており、黒斑病自然発生圃場においても発病が少ないため、薬剤散布回数の低減が期待できる。
[成果の活用面・留意点]
- 本系統の耐病性は中程度であることから、多発圃場では黒斑病対照の薬剤散布もある程度必要であると考えられる。
- 本系統の栽培上の諸特性についてさらに継続して検討する必要がある。
[その他]
研究課題名:放射線照射によるモモの新品種育成
予算区分 :県単
研究期間 :平成11年度(平成9~13年)
研究担当者:井上幸次
発表論文等:平成12年度日本植物病理学会(講演発表)
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