水稲に対する稲わらおよび土づくり肥料の長期連用効果
- [要約]
- 半湿田および乾田で稲わらの秋鋤込みを継続すると、土壌有機物含量を当初水準に維持でき、稲わら堆肥1t/10a連用の代替となる。また、珪カルおよび熔リンとの併用によって、水稲の生育収量が安定し、稲作時のリン酸施肥が省略できる。
滋賀県農業試験場・環境部・土壌肥料係
[連絡先] 0748-46-3081
[部会名] 生産環境(土壌・気象)
[専 門] 土壌
[対 象] 稲類
[分 類] 指導
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[背景・ねらい]
- 地域の土壌条件等に応じた地力増強対策は、持続的な農業生産とともに環境負荷軽減のために重要であり、それには土壌のちがいと有機物・土づくり肥料の連用効果を長期的に解析・評価する必要がある。
- そこで、半湿田および乾田において、20年以上にわたる稲わらおよび土づくり肥料(珪カル、熔リン)の長期連用が、水稲の収量・養分吸収および土壌の化学性に及ぼす影響を明らかにする。また、土壌蓄積リン酸を有効利用し、水稲作付期のリン酸施肥を節減する。
[成果の内容・特徴]
- 半湿田(中粗粒グライ土)および乾田(中粗粒褐色低地土)で、稲わらの秋鋤込みを継続すると、土壌有機物含量を当初水準に維持でき、稲わら堆肥1t/10aの代替が可能である(図1)。
- 稲わらおよび土づくり肥料を約10~20年間連用すると、有機物無施用区(施肥N量:約10kg/10a)に比べて、半湿田で4~5%、乾田で5~11%の増収効果が認められる。塩基の溶脱が進みやすい乾田では、土づくり肥料の併用効果が高い(表1)。
- 稲わらおよび土づくり肥料由来養分の水稲利用率は、窒素21~28%、カリウム10~20%、ケイ酸24~33%の範囲にある。そして、稲わらに土づくり肥料を併用すると、稲わらのみの施用に比べて、籾の窒素含量が低下し、食味向上が期待される(表1)。
- 稲わらと珪カルを施用すると、熔リンを併用しても、水稲のリン吸収量は増加しない。そこで、土壌の可給態リン酸が適正水準(10~20 mg/100g)に達した場合、秋に熔リンを40kg/10a施用すれば、稲作時のリン酸施肥を省略しても減収せず、土壌蓄積リン酸の有効利用が図れる(表2)。
[成果の活用面・留意点]
- 稲わらの秋鋤込みは、半湿田および乾田地帯での早植栽培に適する。また、積雪地でも秋鋤込みが望ましく、融雪後の春鋤込みに比べて増収効果が高くなる。
- 稲作時のリン酸施肥の省略については、今後とも継続して調査する必要がある。
[その他]
研究課題名:土壌環境基礎調査・基準点調査(有機質資源連用試験)
予算区分 :国補(土壌保全対策事業)
研究期間 :平成11年度(昭和50~平成11年)
研究担当者:柴原藤善、武久邦彦、小松茂雄
発表論文等:水稲に対する有機物および土づくり肥料の連用効果(第1報)水稲の生育収量、養分吸収および土壌の化学性の変化、滋賀農試研報、40、54-77、1999.
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