環境負荷を低減する牛尿の施用方法
- [要約]
- 牛尿にジシアンジアミド(以下Dd)を添加して草地に散布すると、亜酸化窒素の発生が抑制される。また、牧草の窒素吸収量及び乾物収量は増加し、このときの増加率はDdから供給される窒素の上乗せ率を大きく上回る。
岡山県農業総合センター・農業試験場・化学研究室
[連絡先] 08695-5-0271
[部会名] 生産環境(土壌・気象)
[専 門] 肥料
[対 象] 牧草類
[分 類] 研究
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[背景・ねらい]
- 畜産農家の圃場は牛ふん尿の多投入が問題になる反面、耕種農家の圃場は有機物の投入量が少なくなりやすい。畜産農家が耕種農家の圃場を一定期間借りて牧草を栽培すると、地域全体として輪作体型が確立でき、環境負荷低減と未利用有機物の有効利用につながる。
- ここでは、環境負荷を低減するために牛尿にDdを添加し、そのときの草地からの亜酸化窒素発生量、窒素吸収量、乾物収量を無添加の場合と比較した。
[成果の内容・特徴]
- 平成8年9月に多腐植質厚層黒ボク土の現地圃場にイタリアンライグラス、オーチャードグラス、トールフェスク、レッドクローバの4種の牧草を混播し、化学肥料区、無窒素区、牛尿区、牛尿+Dd区を設け亜酸化窒素発生量、牧草収量、窒素吸収量を調査した。また、場内でもコンテナ栽培で、牛尿区、牛尿+Dd区の亜酸化窒素発生量を調査した。
現地圃場には無窒素区を除く各区に、春先と牧草の刈り取り時に1回当たり窒素成分で50kg/ha施肥を行った。窒素吸収量及び乾物収量は、平成9~11年の間に9回の刈り取りを行った合計で表す。
- コンテナでの栽培試験では、牛尿にDdを添加すると亜酸化窒素の発生量が牛尿区の17%に抑制される(表1)。
- 現地調査では牛尿にDdを添加すると、亜酸化窒素の発生量が無添加に比べ1998年は67%に1999年は39%に抑制される(表2)。
- 牛尿に添加したDdの量は、牛尿の窒素成分に対しDdの窒素成分で10%(約7.5kg/ha)としたため,牛尿+Dd区は化学肥料区、牛尿区に比べ窒素が10%多く施用されている。
- 牛尿にDdを添加することにより、窒素吸収量は化学肥料区に比べて38%、牛尿区に比べて24%増加する(図1)。これは、窒素の増施割合を大きく上回る。
- 牛尿にDdを添加することにより、乾物収量は化学肥料区に比べて31%、牛尿区に比べて24%増加する(図2)。これは、窒素の増施割合を大きく上回る。
[成果の活用面・留意点]
- 工業用のDdは20kg当たり2万円程度で購入できる。
- Ddを取り扱う場合は手袋やマスクを着用する。
[その他]
研究課題名:環境保全型土壌管理対策指針策定調査
予算区分 :国補(土壌環境負荷低減対策事業)
研究期間 :平成11年度(平成8~11年)
研究担当者:赤井直彦、石橋英二、大家理哉
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