集落排水に由来する濃縮汚泥の水稲への利用技術


[要約]
生石灰処理濃縮汚泥を基肥として10a当たり8m3 (全Nで7kg程度)施用し、葉色診断に基づいた穂肥(化成肥料)を施用すれば水稲の収量・品質は確保できる。なお、土中汚泥注入機の利用で環境に配慮した施用ができる。
広島県立農業技術センター・環境研究部
[連絡先] 0824-29-0521
[部会名] 生産環境(土壌・気象)
[専 門] 資源利用
[対 象] 稲類
[分 類] 研究

[背景・ねらい]
 農業集落排水処理施設から排出される濃縮汚泥を有効利用し、地域資源のリサイクルを図るため、土中汚泥注入機による水稲(コシヒカリ)への安全で効果的な施用法を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 集落排水処理場から発生する濃縮汚泥は、水分約98%の液状で、窒素、燐酸に比べて加里含量が少ない(表1)。この濃縮汚泥は、生石灰0.5(W/V)%添加によって、pHが12以上になり、3日目以降大腸菌群を検出限界以下に抑制し、窒素が約20%減少する。したがって、汚泥に生石灰添加後3日目から利用すれば肥料として公衆衛生上問題なく利用できる(表2)。
  2. 水稲‘コシヒカリ’では、秋と春の合計2回汚泥施用(8m3 /10a/年)に加えて、葉色診断から判定した穂肥1.7kgN/10a(化成肥料)の施用で化成肥料を用いた慣行栽培と同等の生産が可能である(表3)。
  3. 基肥代替として、秋と春の合計2回汚泥施用(8m3 /10a/年)を2年間続けても、土壌の亜鉛含量の増加は1.7mg/kgと小さかった(表3)。また、玄米に重金属(Cd、Hg、Zn)の集積は認められない(データ省略)。
  4. 湿地ブルドーザーを改良した土中汚泥注入機(広島県農業開発公社開発)は、濃縮汚泥を搭載し、走行しながら土壌深10~20cmの位置で30cm間隔にリッパーを通して注入する。したがって、汚泥を見せず、臭わせない施用が可能である。

[成果の活用面・留意点]

  1. 濃縮汚泥に含まれる重金属含量を確認する必要がある。
  2. 土壌の加里含量が低下する場合は加里肥料を加える。また、土壌の無機成分(重金属を含む)の測定を数年単位で行う必要がある。

[その他]
研究課題名:地域資源リサイクル実践事業
予算区分 :県単
研究期間 :平成11年度(平成8~10年)
研究担当者:伊藤純樹、松浦謙吉、中澤征三郎
発表論文等:なし

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