近赤外分光法を利用した酒米玄米粒タンパク質含量の測定


[要約]
回転ドロワーを装備した近赤外分光分析装置を用いることによって、粒による影響を軽減し、酒米玄米粒のタンパク質含量を実用的な精度で測定することが可能である。
兵庫県立北部農業技術センター・加工流通部
[連絡先] 0796-74-1230
[部会名] 流通利用
[専 門] 食品品質
[対 象] 稲類
[分 類] 研究

[背景・ねらい]
 酒米のタンパク質含量は醸造好適米の最重要評価項目とされ、生産地でも測定値把握の重要性が増しており、迅速性を考慮して玄米粒で測定できる方法が望まれている。しかし、主要な酒米品種の「山田錦」等は心白を有するため、市販されている成分分析計で正確に測定することは困難である。そこで、近赤外分光分析装置に粒の影響を軽減できる回転ドロワーを装着して酒米のタンパク質含量を正確に測定できる検量線を検討した。

[成果の内容・特徴]

  1. 酒米玄米粒を回転ドロワーを装着した近赤外分光分析装置(Bran+Lubbe Infrayzer 500)を用いて検量線を採取した。検量線を採取した玄米粒をケルダール窒素蒸留法でタンパク質含量の実測値を測定した。
  2. 酒米「山田錦」、「兵庫夢錦」等13品種78点の分析値及び反射光データを6波長での重回帰分析を行うことで、相関係数(R)=0.92、検量線標準誤差(SEC)=0.19のタンパク質含量測定検量線が得られる(図1)。
  3. 検量線は5.9%~8.3%の範囲の玄米中タンパク質含量を測定することが可能であり、78点の未知サンプルによる検量線予測誤差(SEP)は0.19である(図1)。
  4. 重回帰法で作成した検量線はPLS法で作成した検量線(R=0.91,SEC=0.21,SEP=0.21)及びPCR法で作成した検量線(R=0.70,SEC=0.35,SEP=0.38)と比較し精度が高い(表1)。
  5. 回転ドロワーを利用した玄米粒のタンパク質含量を測定する検量線は玄米粉を測定する検量線よりは精度が劣るが、回転ドロワーを利用しない玄米粒の検量線よりは大幅に精度が向上し、かつ実用的な精度を有する(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. タンパク質含量を正確に測定するため、年2回の検量線の補正が必要である。
  2. 検量線は3カ年のデータの蓄積から計算した。
  3. 測定は精玄米で行う。

[その他]
研究課題名:酒造好適米の品質評価方法の開発と利用
予算区分 :県単特定
研究期間 :平成11年度(平成11~15年)
研究担当者:小河拓也、池上 勝、永井耕介、井上喜正

目次へ戻る