ヨシ種子からのカルス誘導と効率的な再分化条件
- [要約]
- ヨシの完熟種子を、2,4-D1mg/l 含むMS培地で培養するとカルスが誘導される。カルスをR2液体培地で旋回培養し得られる培養細胞を、NAA1mg/l とBA0.1mg/l を含むMS培地に置床し培養することで、効率よく再分化個体が得られる。
滋賀県農業試験場・企画技術部・生物工学担当
[連絡先] 0748-46-3081
[部会名] 生物工学
[専 門] バイテク
[対 象] 工芸作物類
[分 類] 研 究
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[背景・ねらい]
- ヨシは水質浄化に役立つ植物であるが、実際に利用するためにはその機能をさらに高め養分吸収能の高い植物体を作出することが重要である。しかし、ヨシの種子は稔性の低い個体が多く交配による改良が困難である。そこで、遺伝変異の拡大の一手法として、培養変異やトランスジェニック植物の利用が有効であると考え、ヨシの培養系を開発する。
[成果の内容・特徴]
- ヨシの完熟種子からのカルス誘導には、基本培地にMS培地を用いるのがよく、N6培地に比べカルス形成率は高まる(図1)。
- 2,4-D濃度の違いがカルスの生長に及ぼす影響を調査した結果、1~2mg/l の区のカルスの生長が良く、4mg/l 以上の区ではカルスの褐変がみられ2週間目以降生長は停止する(図2)。
- フライアブルなカルスは2,4-D濃度1mg/l 区において最も多く認められたことから2,4-D1mg/l を含むMS培地がカルス誘導に適当である。
- カルスを2,4-D1mg/l を含むR2液体培地で旋回培養することにより、増殖能がよい液体培養細胞が作出される。
- 液体培養細胞から再分化個体を得るには、基本培地にMS培地を用いるのがよく、N6培地に比べ再分化カルス率は高く、再分化植物体数も多数得られる(表1)。
- 培地に用いるホルモンの種類と濃度は、NAA0~1mg/l +BA0~0.1mg/l が最適で、再分化カルス率は高く、置床カルス当たりの再分化植物体数も多数得られる(表2)。
[成果の活用面・留意点]
- 開発したヨシの培養系を用いることにより、多数の再分化個体を得ることが出来る。
- 培養により得られた再分化個体を利用するには、培養変異を調査する必要がある。
[その他]
研究課題名:有用遺伝子導入によるヨシへの高窒素吸収能付与技術の開発
予算区分 :地域先端
研究期間 :平成11年度(平成10~12年)
研究担当者:渡辺健三、森 真理、宮村弘明
発表論文等:育種学研究、第1巻、別冊1号、211、1999.
第17回植物細胞分子生物学会、講演要旨、96、1999.
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