「アカナス」と「カレヘン」の体細胞雑種における染色体構成と形質の相関


[要約]
GISH法による「アカナス」と「カレヘン」の染色体識別法を開発した。本法により、体細胞雑種の染色体標本上で、両種の染色体を識別できる。また、染色体構成と形質に相関が認められ、一部の形質をin vitro植物のレベルで予測できる。
大阪府立農林技術センター・栽培部・生物資源室
野菜・茶業試験場・野菜育種部・育種法研究室
北陸農業試験場・地域基盤研究部・稲育種工学研究室
大阪大学大学院・工学研究科・生命反応工学講座
[連絡先] 0729-58-6551
[部会名] 生物工学
[専 門] バイテク
[対 象] 果菜類
[分 類] 研究

[背景・ねらい]
 収量性に優れたナスの台木品種「アカナス」に、「カレヘン」のもつ青枯病抵抗性を導入する目的で、体細胞雑種を24系統作出したが、系統間で花色、果形、草勢、稔性、青枯病抵抗性等の形質に変異が認められる。そこで、GISH法を用いて、染色体構成と形質との相関を明らかにし、目的とする形質を有する体細胞雑種の早期選抜に利用する。

[成果の内容・特徴]

  1. ランダムプライマー法でビオチン標識した 100ngの「カレヘン」全DNAをプローブDNAに、10μgの「アカナス」全DNAをブロッキング用DNAに用い、体細胞雑種の染色体標本上で37℃、15時間の分子交雑を行い、蛍光シグナルを高感度冷却CCDカメラで撮影する。
  2. 画像解析処理によりシグナルを明瞭化すると、両種の染色体が完全に識別できる。染色体数48本の体細胞雑種は、「アカナス」の染色体24本と「カレヘン」の染色体24本をあわせ持つ複2倍体(図1-a)で、両種の中間型の形態特性を示す(図2)。
  3. 染色体数72本の体細胞雑種は、「アカナス」の染色体が48本、「カレヘン」の染色体が24本の6倍性植物(2n=6x=72)と「アカナス」の染色体が24本、「カレヘン」の染色体が48本(図1-b)の6倍性植物の2タイプが生じている。
  4. 6倍性の体細胞雑種の葉形(図2-a)、花色、花房の形態、果実の直径(図2-b)、果実の重量、果実の水分含量などの形質は、ゲノム構成の多い種の方に類似している。

[成果の活用面・留意点]

  1. 体細胞雑種だけでなく、交配による雑種においてもGISH法の利用が可能である。
  2. 広範囲の植物に適応が可能で、プローブDNAとブロッキングDNAの処理条件を検討することにより、近縁の種間雑種でも、染色体構成を明らかにできる。
  3. in vitro植物の段階で、形質のいくつかを予測することができるため、目的とする形質を有する体細胞雑種の早期選抜に利用できる。

[その他]
研究課題名:培養変異の遺伝子診断による有用形質獲得体の早期選抜技術の開発
予算区分 :地域先端
研究期間 :平成11年度(平成8~13年)
研究担当者:岩本 嗣、平井正志(野菜・茶試)、近江戸伸子(北陸農試)、福井希一(大阪大学)
発表論文等:Solanum integrifolium S. sanitwongsei の6倍性体細胞雑種の染色体構成と形態特性について、育種学研究、第1巻別冊1号、221、1999.

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