根鉢植物利用によるハクサイのセル若苗定植技術
- [要約]
- 野菜の機械移植栽培における苗の老化を避け、根鉢形成の十分でない若苗の移植を可能にするため、ハクサイのセル育苗用土中に、根鉢の形成だけを目的とした植物(根鉢植物)の種子を混和する育苗方法を開発した。
奈良県農業試験場高原分場・地域特産開発チーム
[連絡先] 0745-82-2340
[部会名] 野菜・花き(野菜)
[専 門] 栽培
[対 象] 葉茎菜類
[分 類] 研究
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[背景・ねらい]
- 全自動移植機による野菜類の移植は、根鉢の十分な形成が必要なため、手植えでは播種後15日の苗で定植できるハクサイでも、機械移植の場合には25日前後の苗齢のものが用いられている。しかし、根鉢の形成促進は苗の老化につながるとともに、定植後の根がいわゆる巻根となって伸長を阻害されたり、地上部の生育にも悪影響を及ぼす恐れが指摘されている。そこで、栽培目的の作物とは別の植物に根鉢を形成させ、栽培作物自体は若苗の状態で移植する方法を、ハクサイを対象にして開発する。
[成果の内容・特徴]
- 根鉢植物の要件としてはア.ハクサイより早く根が伸長し、若苗の間に根鉢を形成できること、イ.ハクサイの生育を阻害しないこと、ウ.移植後、除草剤などで選択的に枯殺できることなどであり、イネ、ソルゴーなどがこの条件に適している。
- イネまたはソルゴーの種子を育苗用土に混和し、トレイに充填した後、ハクサイの種子を播種する。混和する種子の量は、128穴のトレイの場合、25gとする(図1)。根鉢植物の種子を用土に混和する時間は、播種作業全体の中では無視できるほど小さい。
- 根鉢植物の利用により播種後11日苗でも全自動移植機による移植が可能となる(図3)。
- 根鉢植物なしの場合の収穫適期は若苗でやや遅れるが収穫時の球重は移植時の苗齢が若いほど大きい。根鉢植物にソルゴーを用いた場合も同様である。イネの場合は11日苗より15日苗が優る(図4)。
- ハクサイ活着後、セトキシジム乳剤150~200ml/10a(水100~150l/10a)を散布し、根鉢植物を枯殺する。イネは一部残存するが、ハクサイの生育に影響はない。
[成果の活用面・留意点]
- この技術で、育苗センターなどでの育苗労力・期間の大幅な節約が期待できる。
- イネ、ソルゴーの種子を混和した育苗用土ではハクサイの発芽が抑制されることはないが、生育は抑制される。移植後も生育が抑制される個体が観察され、育苗中の施肥量などの検討が必要である。
- 図2 [具体的データ]
[その他]
研究課題名:流通の多チャンネルに対応した中山間特産野菜花きの育成と栽培体系の見直し
予算区分 :県単
研究期間 :平成11年度(平成11~13年)
研究担当者:杉本好弘、谷川賢剛
発表論文等:なし
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