[成果情報名]

春肥に適した被覆肥料を利用した施肥方法

[要約]春期の低温条件下でも溶出する被覆肥料∑を1月中旬に施用すると、2月中旬頃から窒素成分が溶出し、一番茶新芽に対する肥効が確保できることから、年間窒素施用量を煎茶で76→60kg/10a、玉露・てん茶で120→75kg/10aまで削減しても、品質、収量は維持、向上する。
[キーワード]施肥適正化、被覆肥料、溶出予測、低温条件で溶出
[担当]京都茶研・栽培課
[連絡先]0774-22-5577
[区分]近畿中国四国農業・茶業
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 収量、品質を現状維持しつつ茶園の施肥を適正化するために、被覆肥料を利用することが有効である。そこで、春期の低温条件下でも溶出し、一番茶新芽生育期に肥効が期待できる被覆肥料を利用した施肥体系を確立する。

[成果の内容・特徴]

  1. 春期に被覆肥料∑(2.5ヶ月タイプ)を茶園土壌中に埋設し、その窒素溶出率と地温から反応速度論による溶出パラメータを求めると、被覆肥料∑は他の被覆肥料(70日タイプ)よりも活性化エネルギー(Ea1 、Ea2 )が小さく、溶出が地温の影響を受けにくい特徴がある(図1)。
  2. 被覆肥料∑の溶出パラメータを反応速度論による溶出・無機化予測に組み込み溶出を予測すると、春先の低温条件下でも溶出が認められ、一番茶に対する春肥としての肥効が期待できる。また、施肥時期としては、根が動き出す2月中旬頃に窒素成分の溶出を確保するために、1月中旬が適正である(図2)。
  3. 表1のような施肥設計で実証試験を行うと、実証区の土壌中の無機態窒素量は、一番茶新芽の生育、品質にとって重要な2月中旬以降急激に増加し、3月には慣行区より多くなる(図3)。また、実証区の生葉収量、製茶品質、全窒素含量及び遊離アミノ酸含量についても、慣行区と同等かそれ以上で、窒素施用量を減らしたことによる収量、品質への影響は認められず、むしろ向上する(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 被覆肥料を利用して年間窒素施用量を減らす場合、春先の低温条件下での肥効を確保するために、被覆肥料∑を春肥の被覆肥料として利用する。
  2. 被覆肥料∑を連用するとpHが低下する傾向があるので、夏肥、秋肥には他の被覆肥料を用いる。

[具体的データ]

図1

図2

表1

図3

表2


[その他]
研究課題名環境に配慮した省力的施肥管理技術の確立 新肥料利用による減肥栽培
予算区分高度技術活動事業(国庫補助)
研究期間1998~2001年
研究担当者神田真帆、藤原敏郎、上辻久利、浅井信一
発表論文等

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