[成果情報名]

養液栽培におけるナシ「ゴールド二十世紀」の主要肥料成分の吸収パターン

[要約]ナシ「ゴールド二十世紀」の肥料成分吸収量は、各成分とも展葉とともに急激に増加する。カリウム、カルシウムは新梢伸長初期に、窒素、リン、マグネシウムは、新梢伸長、果実肥大の最盛期に吸収のピークを示す。冬~早春期の吸収量はわずかである。
[キーワード]ニホンナシ、ゴールド二十世紀、水気耕、肥料、吸収パターン
[担当]鳥取園試・果樹研究室
[連絡先]0858-37-4211
[区分]果樹
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 現在、本県のナシ栽培で慣行となっている施肥体系によれば、秋~冬期に年間窒素施用量の80%が施用されており、その多くが溶脱している。ナシ園への施肥に由来する環境負荷を低減するためには、肥料成分の流亡を低減する効率的な施肥法の確立が必要である。ナシ樹による年間の吸収パターンを明らかにすることにより、「ゴールド二十世紀」の適切な施肥時期・施肥量を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 5年生の「ゴールド二十世紀」6樹(平均樹冠面積2.3m2 )を、培養液循環式の水気耕法で栽培した。培養液の主要肥料成分濃度は、TN:46ppm,P2O5:19ppm,K2O:75ppm,CaO:44ppm,MgO:16ppmとした。この栽培法により、一般の土耕栽培に遜色ない品質の果実が生産できた(表1)。3~10日おきに培養液を更新し、残液の量と主要成分(N、P、K、Ca、Mg)の濃度を測定することにより、期間中の消費量を明らかにした。
  2. 培養液の消費量は、概ね気温、葉量の変化に伴った推移を示す。また、養液交換インターバルごとに細かい増減が見られるが、これは期間中の日射量が大きく影響する(図1)。
  3. 窒素の吸収量は、開花、展葉の開始(4月下旬)とともに急激に増加する。その後新梢伸長・果実肥大の最盛期(7月)にピークに達し、8月以降、葉数の減少に伴って低下する(図2)。
  4. リン、マグネシウムの吸収量は、春期の増加が比較的ゆるやかな推移を示す以外は、ほぼ窒素に準じたパターンを示す(図2)。
  5. カリウム、カルシウムの吸収量は、新梢伸長の初期(5、6月)にピークに達した後、漸減する(図2)。
  6. 各成分とも、吸収量のほとんどが着葉期間中に樹体に取り込まれる。このことから、施用した成分の肥効を生育(着葉)期間中に重点的に発現させることで、吸収の効率化を図ることが可能である。

[成果の活用面・留意点]

  1. 基肥(冬期施用)主体の施肥体系を見直し、施用量を低減できる施肥体系の組み立てに活用する。
  2. 各成分の総吸収量(表2)については、土壌養液中より高濃度の培養液であるため、過剰に吸収される可能性があり、施用量の参考としては留意が必要である。

[具体的データ]

図1

図2

表1

表2


[その他]
研究課題名果樹の根域集中管理による環境負荷低減型施肥技術の確立
予算区分新技術地域実用化研究促進事業
研究機関2000~2001年度
研究担当者吉田 亮、山本匡将、村田謙司
発表論文等なし

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