[成果情報名]

植物内生菌を利用したホウレンソウ萎凋病防除

[要約]植物内生菌Enterobacter cloacae SM10株でホウレンソウ種子を浸漬処理すると、ホウレンソウ萎凋病(Fusarium oxysporum f.sp. spinaciae )の発病が抑制される。
[キーワード]ホウレンソウ萎凋病、生物防除、植物内生菌、Enterobacter cloacae
[担当]京都農資セ・応用研究部
[連絡先]0774-93-3527
[区分]近畿中国四国農業・生産環境(病害虫)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 夏季の雨よけ栽培において著しい被害をもたらすホウレンソウ萎凋病に対して、植物の体内に生息している植物内生菌を利用した防除技術を開発する。

[成果の内容・特徴]

  1. ホウレンソウの根内部から細菌Enterobacter cloacae SM10株を分離し、SM10株の細菌懸濁液に22℃、24時間浸漬処理したホウレンソウ種子(品種 おかめ、ネーキッド種子、薬剤コーティングなし)を汚染ほ場に播種すると、SM10株による発病抑制効果が認められる(表1図1)。
  2. 同様の方法でSM10株を浸漬処理したホウレンソウ種子を播種すると、根導管内部に細菌が認められる。さらに、SM10株の抗体を用いた免疫電顕では、根導管内部に認められた細菌に金コロイド粒子の特異的なシグナルが認められる(図2)。これらのことから、SM10株はホウレンソウ体内に生息する植物内生菌であることが認められる。
  3. SM10株は、ホウレンソウを含め、キュウリ、ナスなど主要な9科13作物には病原性や生育抑制を示さない。これらのことから、E. cloacae SM10株は実用的な生物防除エージェントとなりうる。

[成果の活用面・留意点]

  1. Rhizoctonia による株腐病には発病抑制効果がないので、株腐病が発病するほ場ではトリクロホスメチル剤等の株腐病防除薬剤の併用が必要である。
  2. ホウレンソウ種子へのSM10株の効果的、効率的なコーティング処理方法の開発が必要である。

[具体的データ]

表1

図1

図2


[その他]
研究課題名有用植物共生菌等利用による特産野菜・花き類の病害防除技術の開発
予算区分府単
研究期間1997~2001年度
研究担当者津田和久、小坂能尚
発表論文Tsuda et al . 2001. J. Gen. Plant Pathol. 67: 78-84 Evaluation of the Endophyte Enterobacter cloacae SM10 Isolated from Spinach Roots for Biological control against Fusarium Wilt of Spinach

目次へ戻る