[成果情報名]

ナシ‘愛宕’の心腐れに関与する糸状菌

[要約]ナシ‘愛宕’の心腐れは胴枯病菌以外に、フザリウム菌、アルタナリア菌、炭疽病菌などによっても生じる。
[キーワード]ナシ、心腐れ、胴枯病菌、フザリウム菌、アルタナリア菌、炭疽病菌
[担当]岡山農総セ農試・病虫研究室
[連絡先]0869-55-0271
[区分]近畿中国四国農業・生還環境(病害虫)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 ナシ‘愛宕’の心腐れが胴枯病菌によって生じることはすでに明らかにした。最近、胴枯病菌によるものとは症状がやや異なる心腐れ症状がみられたので、これらに関与する病原菌の究明を行う。

[成果の概要・特徴]

  1. 1999、2000年にナシ‘愛宕’の心腐れ症状を多数調べたところ、主に以下の3症状に分けられた。
    症状A果肉が淡褐色ないし茶褐色に腐敗し、腐敗した果肉は果汁に富み、ゼリー状で柔らかい。
    症状B果肉が茶褐色(症状Aよりやや色調が濃い)に腐敗し、しばしばまだら状の黒変部分がみられる。症状Aより果汁が少なく軟化の程度が低い。
    症状C果心部のみに白色や灰色のカビを生じて褐変している。
  2. 症状A(重症)からは胴枯病菌、フザリウム菌の分離率が高かったが、症状Bからはアルタナリア菌、炭疽病菌の分離率が高かった。症状Cからは主にアルタナリア菌、その他の未同定菌が分離された(表1)。
  3. フザリウム菌、アルタナリア菌は胴枯病菌と同様に県内各地の‘愛宕’の心腐れ果から分離された(表2)。
  4. 分離菌を二等分した‘愛宕’の成熟果の果心部に挟みこんで接種するとそれぞれに菌に特有の心腐れ症状が再現された。
     以上の結果、ナシ‘愛宕’の心腐れには、胴枯病菌以外に、フザリウム菌、アルタナリア菌、炭疽病菌なども深く関与している(図1参照)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 開花後から小袋掛けまでに黒星病防除剤の散布を励行すると、本病にも有効である。

[具体的データ]

表1

表2

図1


[その他]
試験研究課題新規問題化病害虫の解明と防除対策
予算区分県単
研究期間1999~2000年度
研究担当者井上幸次、粕山新二
発表論文等1)井上ら(2001)日植病報67(2):164(講要).

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