[成果情報名]

温暖地二毛作における水稲のリン酸・加里無施用栽培

[要約]春どりキャベツの跡地では肥料の残存量が多いため、水稲の育苗箱内全量基肥施肥を用いたリン酸・加里無施用栽培が可能で、成熟期が2日程度早まる。また、被覆肥料の窒素は溶出が早いため、収量確保には水田の可給態窒素を高める必要がある。
[キーワード]春どりキャベツ、リン酸・加里無施用、水稲、育苗箱内施肥、成熟期、可給態窒素
[担当]和歌山農林水技セ・農業試験場・環境保全部
[連絡先]0736-64-2300
[区分]近畿中国四国農業・生産環境(土壌・土木・気象)、作物生産
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 和歌山市近郊の水田は県内一の二毛作地域である。この地域では野菜・水稲の両作で3要素による施肥が行われ、リン酸や塩基の集積も認められる。野菜作での残存肥料の有効利用と水田での施肥作業の省力化を図るため、水稲作で育苗箱内全量基肥施肥を用いたリン酸・加里無施用による栽培法を確立する。

[成果の内容・特徴]

  1. 春どりキャベツ栽培跡地土壌には、アンモニア態窒素が最も少ない区で15mg/kg、交換性加理が25mg/100g、リン酸は37mg/100g含まれている。
  2. 土壌管理法の異なる春どりキャベツ栽培跡土壌を用いた水稲の育苗箱内全量基肥施肥(シグモイド型被覆尿素100日タイプ、窒素40%)による窒素単肥栽培と慣行育苗法による全量基肥栽培法では、成熟期の無機養分含有率に大きな差は生じない(図1)。
  3. 育苗箱内施肥により育苗中の葉齢進展が慣行法より早いため、出穂期と成熟期はそれぞれ1日、2~4日早まる(表1表2)。
  4. 可給態窒素の少ない化学区と無機区に比べて、可給態窒素の多い有機区と総合区では10%程度増収し、慣行栽培法とほぼ同等の収量となる。増収の要因は穂数と1穂籾数の増加である(表2)。
  5. 育苗箱内全量基肥施肥法での窒素溶出率は、育苗期間中に2%弱、幼穂形成期(平均地温積算値で約1500℃)までに約80%であり、出穂期(平均地温積算値で約2000℃)までにほぼ全量溶出する(図2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 成熟期前進により後作(野菜)の作付転換準備が容易になる。
  2. 育苗箱内に施肥を行うため保水量が低下するので、潅水回数を増やす必要がある。

[具体的データ]

表1

表2

図1

図2


[その他]
研究課題名たい肥等有機物・化学肥料適正使用指針策定調査(有機質資源連用試験)
予算区分国補(土壌機能増進対策事業)
研究期間1998~2001年度
研究担当者林恭弘、森下年起
発表論文等なし

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