[成果情報名]

養液土耕栽培における夏秋トマトの養水分管理

[要約]夏秋トマトの養液土耕栽培では、1作の施肥窒素量をトマトの窒素吸収量に対応するように株当たり20gとして、1作の灌水量を慣行の1.5倍の株当たり386Lとすることにより、高い総収量及び上物収量が得られる。
[キーワード]夏秋トマト、養液土耕栽培、施肥窒素量、灌水量
[担当]広島農技セ・環境研究部
[連絡先]0824-29-0521
[区分]近畿中国四国農業・生産環境(土壌・土木・気象)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 養液土耕栽培は、土壌を培地として作物の生育に応じて養分と水分を同時に供給する施肥法である。しかし、夏秋トマト栽培において、収量面を重視した灌水同時施肥法は未確立である。そこで、夏秋トマトの開花苗定植において高収量を得るための適正な施肥窒素量と灌水量について検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 供試した土壌は細粒灰色低地土灰色系で、マサ土とピートモスを10a当たり50m3 づつ施用して改良している。また、土壌化学性は栽培前で無機態窒素が乾土100g当たり1.4mg、CECが13.5me、塩基飽和度が80%である。
  2. トマトの窒素吸収量は5月の定植から11月の収穫打切りまでに、株収量が7.8kgの場合、株当たり22.5gで、10a当たり(栽植株数1,940株)約44kgに達する。その内、定植22日後から6月の1か月間では、トマトの生育は3段から8段花房開花期に相当し、窒素吸収量は株当たり6.1gで最も多く、他の時期のほぼ倍量である。なお、1作のその他の養分吸収量は株当たりリン酸9.1g、加里38.8g、石灰27.6g及び苦土5.0gである(図1)。
  3. 総収量及び上物収量は、定植から8段花房開花期までに窒素で株当たり8g、それ以降から収穫終了までに12g施用した計20gが最も多い。したがって、窒素吸収特性に応じた施肥は高い収量と外観品質が得られる(図2)。
  4. 総収量及び上物収量は、1作の慣行灌水量の1.5倍(株当たり386L)処理が最も多く、灌水量を増すことで高い収量と外観品質が得られる(図3)。
  5. 以上の結果、表1のとおり生育時期別の養水分管理指標を示す。この指標の施肥窒素量はトマトの窒素吸収量に対応するように、また、灌水量は高収量を得るために慣行の1.5倍としている。

[成果の活用面・留意点]

  1. 施肥窒素量は天候の違いにより灌水量を調節した場合でも変更しないで、窒素濃度を調整して施用する。
  2. 無加温のセル成型苗直接定植では、収穫始めが開花苗定植よりも遅く、収量が少ないために、1作の施肥窒素量は株当たり15gで開花苗定植よりも5g減肥する。また、灌水量はトマトの初期生育を抑制するために、定植から3段花房開花期までは晴天日で株当たり平均1Lとして、開花苗定植の半量とする。

[具体的データ]

図1

図2

図3

表1


[その他]
研究課題名リアルタイム診断による養液土耕トマトの施肥管理技術の確立
予算区分県単
研究期間1998~2000年度
研究担当者國田丙午、宮地勝正、伊藤純樹

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