[成果情報名]

航空機から撮影した熱画像のモザイク作成

[要約]広域で地上分解能が高く、精度も高い表面温度分布図を作成するために、航空機から熱画像を多数撮影して、ノイズ処理後、オルソ化して、つなぎ合わせ、モザイクを作成する手法を開発した。本法は、検出器の空間分解能が十分でない場合に共通して使える手法である。
[キーワード]温度分布図、熱画像、ノイズ処理、オルソ化、モザイク
[担当]近中四農研・地域基盤部・気象資源研究室
[連絡先]084-923-4100
[区分]共通基盤・農業気象、近畿中国四国農業・生産環境(土壌・土木・気象)、情報研究
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
 高解像度衛星の商業化等に伴いリモートセンシングが注目されているが、衛星の熱画像は地上分解能が最も高い場合でも60mと粗く、地形や地表面が複雑な地域での利用には限界がある。そこで、熱画像撮影装置を飛行機に積載して、十分な地上分解能が得られる高度から撮影し、得られた多数の画像をつなぎ合わせて、広域の地上分解能の高い温度分布図を作成する手法の開発を試みた。これにより、地形や地表被覆の影響を受けて複雑に分布すると推定されているが、その実態が未知である気温分布の把握に資することを目的とする。

[成果の内容・特徴]

    画素数が255×239と少ない熱画像を用いて、広域の地上分解能の高い地表面温度分布図を作成するには、図1に示される以下の手順に従う。
  1. 精度は高いが振動に弱いスターリングクーラ方式で冷却する走査鏡型の熱画像撮影装置(図2参照)を防震台に取り付けて、航空機の胴体下部の観測孔から真下方向を撮影する。
  2. 広角レンズを装着して撮影した熱画像には、光学系によって生じるナルシサス効果、熱的ランダムノイズ、走査鏡の回転で生じるストライプ等のノイズがある。これらを減殺、低周波フィルタ処理、エッジマスク等の手法を用いて前処理する。
  3. 前処理後の熱画像を地図座標系と対応づけるために、予め可視領域の空中写真を2,500分の1の国土基本図等の地図座標系に対応づけておく。これは、図3図4の対比から分かるように、地表面温度が地表面の被覆の種類で大きく変わるために、直接地図と対応づけるより、可視写真と対応づける方が容易なことによる。
  4. 前処理後の熱画像は、可視写真と対応点等をとることで地図座標系に対応づけ、中心投影から正射投影に変換(オルソ化)する。この際、標高値のメッシュサイズが粗いと水平位置に誤差を生じるので、予め10mメッシュ程度の補間値を用意する。また、多数の熱画像を同時にオルソ化して、単一画像毎のオルソ化では避け難い広角レンズの幾何学的歪みや標高誤差のため生じる水平位置の誤差による画像間の重なりの低下を避ける。
  5. オルソ化した熱画像をタイル状に多数つなぎ合わせてモザイクとし、広域の地上分解能の高い表面温度分布図を作成する。
  6. 平成13年4月16日4~5時に約2000mの高度から淡路島中央部を撮影した熱画像114枚を用いて作成したモザイクを図3に例示する。東西3922×南北1611画素、地上分解能4m、温度分解能約0.1℃の温度分布図である。現在最も地上分解能の高いランドサットによる観測値と比較して地上分解能・温度分解能とも極めて高く、地表面の様々な被覆ともよく対応して利用価値は高い。
  7. 本法は、熱画像のように検出器の感度が十分でない場合に共通して使える手法であり、こうしたモザイク作成法の開発は、様々な観測に応用できる。

[成果の活用面・留意点]

  1. 熱画像の処理には、市販のリモートセンシングの解析専用ソフトを用いた。
  2. 撮影した熱画像には大気補正を施していない。

[具体的データ]

図1

図2

図3

図4


[その他]
研究課題名リモ-トセンシング技術と地形因子解析法を融合する気温分布測定法の開発
予算区分気温分布測定法
研究期間2000~2002年度
研究担当者大原源二、植山秀紀
発表論文等大原・須藤(2001)、農業気象学会耕地気象改善研究部会講演論文集、17-22

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