[研究成果情報名]

野生ホンシュウジカ筋肉における一般成分と色調

[要約]野生ホンシュウジカ肉の特性は他の家畜に比較して低脂肪で、鉄含量は多く、色調は濃く、褐色化しやすいが、ブルーミング時間は他の食肉とほぼ同じである。
[キーワード]ホンシュウジカ、一般成分、無機物、色調、ブルーミング
[担当]大阪農技セ・食品・資源部・資源循環室、環境部・みどり技術室 
[連絡先]0729-58-6551
[区分]近畿中国四国農業・生産環境(鳥獣害)
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
 近年、生息密度維持のために、ホンシュウジカ継続捕獲の可能性がでてきた。捕獲個体の有効利用は食肉が第一に考えられるが、報告は少なく、肉色に関する科学的な検討は行われていない。そこで、部位および性別に筋肉の一般成分や無機物を測定し、さらに、肉の色調特性を把握するため、ブルーミング(鮮赤色の発色)を中心に検討した。

[成果の内容・特徴]

  1. 肉の粗脂肪含量は牛胸最長筋で13.8%、牛大腿二頭筋で5.1%(栗木ら)でありホンシュウジカ肉ではいずれの部位においても低い(表1)。
  2. 微量無機物であるFe含量は牛半膜様筋で2.78mg/100g、豚半膜様筋で1.54mg/100g(Zarkadasら)あり、ホンシュウジカ肉はいずれの部分においても高い(表2)。
  3. ホンシュウジカ肉の色調が濃いということは、分光スペクトル分布によっても確認することができる(図1)。
  4. ホンシュウジカの各筋肉部位におけるブルーミングは30分でほぼ終了する(図1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. シカ肉の高鉄分や低脂肪などの要素は今日の健康志向に合致すると考えられ,今後の広がりが期待できる。
  2. 食肉の色調は消費者の購買意欲に与える影響が大きく、ホンシュウジカ肉の食肉流通に当たってブルーミングから褐色化までの保存方法を探ることが重要と思われる。

[具体的データ]

表1

表2

図1


[その他]
研究課題名野生獣類による被害防除のための適正な個体群管理と生息環境整備技術に関する基礎調査
予算区分国庫補助
研究期間2000~2002年度
研究担当者石塚譲、川井裕史、大谷新太郎、入江正和
発表論文等1)石塚ら (2001) 日本畜産学会報 72(10):J551-J556

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