[成果情報名]

被覆シートと有用植物等の植栽を組み合わせた畦畔、法面管理法の経済性

[要約]耐久性の高いシートとハーブ類や地被植物を組み合わせた畦畔、法面の管理法は、初年度の労働時間が約77時間/100m2 、コストは約10万円/100m2 である。植栽後は長期間にわたる防草効果と景観の向上が期待できる。
[キーワード]畦畔、法面、被覆シート、ハ-ブ、地被植物、経済性
[担当]兵庫中央農技セ・経営実験室 
[連絡先]0790-47-2440
[区分]近畿中国四国農業・農業経営・作業技術
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 近年、草刈作業の労働軽減と農村の景観を大切にするという考えから、環境的に好ましい地被植物等を畦畔等に植生させる管理法が好まれている。ところが、畦畔、法面全面に被覆するまでの間、風雨による浸食、土壌流亡や雑草の侵入などによって定着が難しい場合もある。そこで、防草効果のあるシートをマルチングして、その上にハーブ類や地被植物を植栽すれば、確実に定着すると思われる。ここでは、その管理法の実証試験から得られた労働時間、コストを明らかにして、今後の畦畔、法面管理に資する。

[成果の内容・特徴]

  1. 100m2 当たりの労働時間は、育苗が197日で52.0時間(67.7%)、植栽作業が24.8時間(32.3%)、合計76.8時間(100%)であった。植栽作業別の構成割合は、植付部の掃除25.0%、施肥・移植が33.9%で、育苗技術とともに労働時間短縮に向けた技術改善が必要であると思われる。(表1)。
  2. 資材費は草種間に差が生じるが、これは種苗費の差であり、植栽作業に係わる資材費は同額である。100m2 当たりの資材費は地被植物:ヒメイワダレソウの場合25,180円、ハーブ:オレガノで28,870円となる。これに労賃76,800円が加わり、合計額は地被植物:ヒメイワダレソウで101,980円、ハーブ:オレガノで105,670円となり、約75%が労働費である。一方、慣行の刈払機のコストは100m2 当たり7,466円であった。(表2)。
  3. シート被覆植栽後は植穴に発生する雑草を手取り除草(年間1時間/100m2 )のみで充分であった。2年目以降もこの対応で充分であると思われる。そこで、ヒメイワダレソウのシート被覆植栽と慣行の刈払機との累積費用を比較すると、労賃を除けば約8年目にコストが等しくなった(図1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 2年目以降は草刈り作業が大幅に軽減されると考えられるので、刈払機では対応できない巨大法面を抱え、担い手が不足している地域での活用が考えられる。
  2. コスト高で個人対応は限界があるが、景観を向上させるといった農業の多面的機能が考えられるので、行政施策を活用した地域的な取り組みが必要である。
  3. シート被覆植栽の張り替え時期に関しては、継続調査中である。
  4. シートに植栽する作業は、5~6月に行うのが望ましい。

[具体的データ]

表1

表2

図1


[その他]
研究課題名新農村育成のための畦畔・法面の新管理技術の開発と休耕田への応用
予算区分国庫(新技術)
研究期間1999~2001年度
研究担当者加藤 雅宣、松本 功、岩井 豊通
発表論文等加藤(2002)ひょうごの農業技術 NO.120 3月号:5

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